高BMIで「血管性認知症」のリスク増、米欧の大規模疫学研究
研究はデンマーク・コペンハーゲン大学病院とイギリスの研究機関を中心に進められ、最新の遺伝的解析手法を用いた結果、BMIと血管性認知症の関連性の強さが従来の研究を上回る形で示された。
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米欧の大規模疫学研究により、高BMI(体格指数)が「血管性認知症」の発症リスクを直接的に高める可能性が明らかになった。研究はデンマーク・コペンハーゲン大学病院とイギリスの研究機関を中心に進められ、最新の遺伝的解析手法を用いた結果、BMIと血管性認知症の関連性の強さが従来の研究を上回る形で示された。
この研究は英医学誌『JCEM(Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism)』に掲載され、BMIが約4.5ポイント上昇するごとに血管性認知症のリスクが有意に増加することが示された。研究チームは観察研究でよく見られる交絡を避けるため「メンデル無作為化」と呼ばれる統計手法を採用し、BMIと認知症リスクの因果関係を検証した。
報告によると、BMIの上昇は血圧の上昇とも深く関連しており、高血圧がBMIと血管性認知症との関係を媒介している可能性があるとしている。解析では収縮期血圧と拡張期血圧がBMIの影響の約20〜25%を説明しているという推計も示された。これは、心血管系の健康が脳にも大きく影響することを示唆する結果だ。
血管性認知症は脳の血管が障害され、血流や酸素供給が不足することで発症するタイプの認知症で、記憶障害や混乱、日常生活の困難などの症状が現れる。治療法は確立されておらず、予防が最重要とされる疾患であり、今回の研究結果はBMIや高血圧といった生活習慣因子の管理が予防戦略として極めて有効であることを示す。
研究チームは「BMIと血圧の管理は心臓だけでなく脳の健康にも寄与する」と指摘し、肥満や高血圧の予防・改善が認知症リスクの低減につながる可能性を強調した。
専門家はBMIが「単なるリスク指標」ではなく認知症発症の因果因子として機能する可能性に注目している。高血圧はしばしば無症状で進行するため、定期的な健康チェックが重要だと警告する。研究チームは「血圧の管理は認知症予防における重要な戦略であり、体重管理と組み合わせた介入が必要だ」と述べた。
BMIは身長と体重から算出される簡便な指標であり、一般的に成人では18.5〜24が理想的とされる。25〜29は過体重、30以上は肥満と分類されるが、専門家はBMIだけでなく体脂肪の分布や生活習慣、心血管リスク全般の評価も重要だと指摘している。
今回の研究は中年期以降のBMIや血圧の管理が将来の認知症リスクに直接的に影響を及ぼす可能性を示すもので、公衆衛生上の意義は大きい。研究チームは「BMIと血圧は行動や介入で改善可能な要因であり、早期からの健康管理が将来的な認知症予防につながる」と結論付けている。
