◎ナワルニー氏に対する裁判はプーチン大統領の政敵を獄中にとどめる試みのひとつである。
ロシアの裁判所は22日、投獄されている野党指導者アレクセイ・ナワルニー氏に詐欺と法廷侮辱罪で懲役9年の実刑判決を言い渡した。
ナワルニー氏に対する裁判はプーチン大統領の政敵を獄中にとどめる試みのひとつである。
最新の判決はナワルニー氏の支持者、他の野党活動家、独立系ジャーナリストに対する弾圧のひとつで、当局はあらゆる反対意見を封じ込めようと躍起になっているように見える。
ナワルニー氏の側近は刑事責任を問われ、国外に退去し、同氏が作り上げたネットワーク(反腐敗財団と地域事務所ネットワーク)は過激派組織のレッテルを貼られ、当局に破壊された。
2020年にロシアのエージェントによる毒物攻撃から生還したナワルニー氏は、モスクワ東部の流刑地に投獄されている。22日の裁判は刑務所内の仮設法廷で行われた。
判決の直後、ナワルニー氏は弁護士を通じてフェイスブックに声明を投稿し、「私の宇宙飛行は予想より少し時間がかかっている」と述べた。
ナワルニー氏は「自分も仲間もただ待つだけではなく、私たちが作り上げた反腐敗財団はプーチンに勝つまで戦う国際的な組織になる」と誓った。
反腐敗財団は新しく立ち上げたウェブサイトに、「モナコの豪邸、マイアミの別荘、あらゆる場所にあるプーチンの富を見つけ出す。ロシアの犯罪エリートからすべてを奪い取る」と書いている。
ナワルニー氏は2014年にも横領罪で有罪判決を受けているが、被害に遭ったとされる企業は事件を「政府の言いがかり」と非難している。
ドイツ外務省は22日、「ロシアの司法制度は反体制派や野党を痛めつける道具になっている」と非難した。
ナワルニー氏が2年半の刑期に加えてさらに9年刑務所にとどまるのか、どこに服役するのかは明らかになっていない。検察側は当初、懲役13年を求刑していた。裁判官は罰金120万ルーブル(約130万円)の支払いも命じている。
AP通信によると、ナワルニー氏の弁護士であるミハイロワ氏とコブゼフ氏は刑務所の外でメディアの取材に応じた直後に当局に拘束されたという。2人はその後、解放されたと伝えられている。
ナワルニー氏は囚人服で出廷し、いつものようにプーチン大統領を非難した。
ナワルニー氏は2020年、ソビエトの神経毒「ノヴィチョク」で毒殺されかけたが、ドイツの病院で治療を受け九死に一生を得た。
2021年1月、ナワルニー氏が帰国した直後に逮捕されると、近年最大の抗議デモが発生した。翌月、モスクワの裁判所は欧州人権裁判所に「恣意的」と呼ばれた2014年の横領事件の仮釈放条件に違反したとして実刑判決を言い渡した。
その後、当局はナワルニー氏の組織、仲間、支持者に対する徹底的な取り締まりを開始した。先月、ロシア当局は同氏と同僚の多くに過激派のレッテルを貼った。
ナワルニー氏に最も近い盟友であるレオニード・ボルコフ氏は22日、海外から「プーチンの計画は失敗する」とツイートした。「プーチンはロシアを世界経済のトップ5にすること、96時間でキエフを占領すること、ナワルニーをノヴィチョクで殺すことなど、多くの計画を実行し、失敗しました。ナワルニーを9年投獄するという計画も破綻するでしょう」