◎EUの外相はロシアの野党党首アレクセイ・ナワルニー氏(44歳)の逮捕および投獄を受け、ロシアの当局者に新たな制裁を科すことに合意した。
2021年2月22日 AP通信/ブリュッセルの欧州理事会ビル、ジョセップ・ボレル氏

2月22日、EUの外相はロシアの野党党首アレクセイ・ナワルニー氏(44歳)の逮捕および投獄を受け、ロシアの当局者に新たな制裁を科すことに合意した。

EUの外交政策責任者、ジョセップ・ボレル氏は外相会議後の声明で、「私たちはナワルニー氏を迫害した責任者に制裁を科すことに合意しました」と述べた。なお、制裁の詳細には触れなかったが、手続きは1週間ほどで完了する予定だという。

報道によると、ボレル氏らはウラジーミル・プーチン大統領とその側近を制裁の対象から外したという。ナワルニー氏の支持者はプーチン大統領に圧力をかけるよう強く求めていた。

ロシアで最も著名な野党指導者のナワルニー氏は、昨年8月にソビエト産神経ガス「ノヴィチョク」で暗殺されかけたが、ドイツの病院で治療を受け九死に一生を得た。

回復したナワルニー氏は先月ドイツから帰国した直後に逮捕され、2014年の横領事件で受けた執行猶予の条件に違反した罪で起訴された。今月初め、モスクワの裁判所は同氏に懲役2年8カ月を言い渡したが、欧州人権裁判所は逮捕および判決を違法と判断し、当局に同氏の釈放を命じた。

ナワルニー氏の支持者は逮捕と投獄に反対し、ロシア全土で大規模な抗議集会を決行したが、警察当局はこれを厳しく取り締まり、約11,000人を拘束した。拘束された者は罰金もしくは7日から15日の懲役刑を科されている。

2021年1月23日 AP通信/ロシア、首都モスクワ、抗議者と機動隊

ボレル氏は記者団に対し、「ロシアは権威主義国家への道を進んでおり、ヨーロッパから遠ざかっていると評価しています」と述べた。

ジョセップ・ボレル氏:
「私たちはロシアが国際法を侵害した場合、EUへの圧力を封じ込め、欧州の利益に関連する問題に対処します」

ロシアはEU最大の天然ガス供給国であり、イランの核問題、シリアおよびリビアの紛争、その他様々な国際紛争で重要な役割を果たしている。

ドイツはロシアのノルド・ストリーム海底パイプラインプロジェクトに強い経済的関心を示しており、フランスを含む多くの国もナワルニー氏をめぐる当局への制裁に躊躇している。

ドイツのハイコ・マース外相は声明で、「私たちは多くの国際紛争の解決でロシアの力を必要としています。それは私たちが対処しなければならない問題です。EUとロシアの関係が冷え込んだ場合、ロシアとの建設的な対話を維持するにはどうすればよいでしょうか」と述べた。

一方、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は先日、ドイツ、ポーランド、スウェーデンの外交官をナワルニー氏関連の集会に参加したと非難し、追放している。この手続きはボレル氏との会談中に実行され、ボレル氏は冷や水を浴びせられた。

オンラインで会議に参加したアントニー・ブリンケン米国務長官は、ロシアだけでなく中国にも焦点を当てたメッセージをEU外相に伝えた。

ボレル氏はブリンケン国務長官の意思表示を「非常に、非常に励みになる」と述べ、「アメリカはコロナウイルス、経済回復、気候変動、民主的価値の保護などの問題に先頭に立って参加する意欲を示している」と評価した。

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