◎ナゴルノカラバフは国際的にはアゼルバイジャンの領土とみなされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける反政府勢力の支配下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。
2023年9月24日/アルメニアと係争地ナゴルノカラバフの検問所近く(ロイター通信)

アルメニアとアゼルバイジャンの係争地ナゴルノカラバフから最初の難民がアルメニアに到着した。地元当局が24日、明らかにした。

それによると、今週の戦闘で被害を受けたナゴルノカラバフのアルメニア人居住区から数千人が避難し、その大半が同地域内のロシア平和維持軍キャンプに移送されたという。

アルメニア当局は「24日遅くの時点で377人がロシアPKOキャンプからアルメニア領内に退避した」と報告している。

一方、ロシア国防省は24日、子供102人を含む民間人311人をアルメニアに移送したと発表した。

ナゴルノカラバフは国際的にはアゼルの領土とみなされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける反政府勢力の支配下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。

この地域をめぐる2020年の紛争では両軍合わせて6000人以上が死亡、数千人が負傷したと報告されている。

両国は2020年11月、ロシアの仲介で停戦に合意した。アゼルは主要都市シュシャを含むナゴルノカラバフの大部分を奪還。アルメニア人は土地を追われた。

アゼル政府は昨年12月以来、アルメニアからナゴルノカラバフに通じる道路(通称ラチン回廊)を封鎖しており、アルメニア人が生活する一部地域への物資輸送が大幅に制限される事態となっている。

アルメニア政府はラチン回廊の封鎖を「大量虐殺に等しい暴挙」と非難し、ロシアに対応を求めてきた。

ナゴルノカラバフのアルメニア人居住区で生活し、アゼル軍の砲撃に見舞われたという女性はAP通信の取材に対し、「村は激しい砲撃に見舞われ、ほぼ全ての住民が避難した」と語った。

アゼル政府は19日、アルメニアの破壊工作員が仕掛けた地雷により兵士2人と民間人4人が死亡したことを受け、ナゴルノカラバフへの「対テロ作戦」を開始した。

その後まもなく、ナゴルノカラバフの指導者は停戦に合意。アゼルの要求を全面的に受け入れ、完全降伏した。

しかし、この地域をめぐる問題は未解決のままであり、21日から始まったアゼルとナゴルノ当局の協議は難航するものとみられる。アルメニア政府はこの協議に関与していない。

アルメニアのパシニャン(Nikol Pashinyan)首相は24日、国民向けのテレビ演説で、「政府はナゴルノカラバフのアルメニア人の権利・安全を確保するための国際的なメカニズムを形成するために同盟国と連携して取り組んでいるが、成果を得られなければ、そこで生活する全てのアルメニア人をあらゆる配慮を持って迎え入れるだろう」と語った。

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