◎ナゴルノカラバフはアゼルバイジャンの領土とみなされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける分離主義勢力の管理下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。
2022年9月13日/アルメニア、首都エレバンの議会、パシニャン首相(Tigran Mehrabyan/PAN/AP通信)

アルメニアとアゼルバイジャン政府は13日、係争地ナゴルノカラバフの戦闘で多くの兵士が死亡したと報告した。

アルメニアのパシニャン(Nikol Pashinyan)首相は、「13日未明の戦闘で兵士49人が死亡した」と報告。アゼルバイジャン国防省は兵士50人がアルメニア軍に殺害されたと非難した。

ロシアは両国の仲介に入ったと報告している。

ナゴルノカラバフはアゼルバイジャンの領土とみなされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける分離主義勢力の管理下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。

2020年に発生したこの地域をめぐる紛争では両軍合わせて6000人以上が死亡、数千人が負傷したと報告されている。両国は2020年11月、ロシアの仲介で停戦に合意した。アゼルバイジャンはナゴルノカラバフの大部分を奪還。アルメニア人は土地を追われた。

アルメニア軍は先週、ナゴルノカラバフ国境でアゼルバイジャン軍の攻撃を受け、兵士1人が死亡したと報告していた。

アルメニア政府は13日未明の声明で、戦闘は沈静化したと報告。その後、アゼルバイジャン政府は「隣国の挑発に応じて反撃、目標を達成した」と声明を出した。

両国は先に攻撃を仕掛けたのは隣国だと非難し合っている。

アルメニア軍はナゴルノカラバフ国境沿いのいくつかの町が砲撃を受けた主張した。

アゼルバイジャン軍は自国のインフラが最初に攻撃を受けたと主張。アルメニアが大規模な軍事的挑発を仕掛けていると非難した。

ロシアは13日早朝、停戦交渉を行ったと発表した。

しかし、アルメニアのパシニャン氏は議会への報告で、「アゼルバイジャンは攻撃を続けている」と説明した。

その後、アゼルバイジャン政府は「アルメニアがロシア仲介の停戦を無視した」と応戦した。

フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領は同日、アゼルバイジャンのアリエフ(Ilham Aliyev)大統領と電話会談を行い、停戦を尊重するよう促した。

米国のブリンケン(Antony Blinken)国務長官も同日、両国の指導者と電話電話を行い、戦闘を避けるよう強く促した。

ブリンケン氏は声明で、「米国は関係国と協力して戦闘の即時停止と平和的解決を推し進める」と述べた。

ロシアはアルメニアに近いが、この地域の主要国として双方と関係を維持している。

ロシア大統領府のペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は声明で、「プーチン大統領が仲介役を担っている」と述べた。

一方、アゼルバイジャンと民族的につながりの深いトルコはアゼルバイジャン政府の言い分を支持している。トルコ政府は13日、「アルメニアは挑発行為を止め、和平交渉に集中すべきだ」と声明を発表した。

13日未明の戦闘は6000人以上が死亡したとされる2020年の紛争以来最大規模と考えられている。

ロシアは平和維持という名目でナゴルノカラバフに兵士約2000人を配備している。

2020年9月27日/ナゴルノ・カラバフ、戦闘エリアから避難する住民(Getty Images/AFP通信/EPA通信)
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