ナゴルノ・カラバフについて知っておくべきこと
・2020年10月9日、ロシアの仲介により、アルメニアとアゼルバイジャンが一時停戦に合意
・約4,400平方キロメートルの山岳地帯
・キリスト教のアルメニア人とイスラム教徒のトルコ人が生活していた
・ソビエト連邦時代、ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの自治区に加えられた
・公式にはアゼルバイジャンの領土と認められているが、人口の大部分はアルメニア人で構成されている
・現在、ナゴルノ・カラバフは分離主義勢力(自称当局)に占領されている
・自称当局は、アルメニアを含む全ての国連加盟国に認められていない
・1988年から1994年の紛争で約3万人が死亡、推定100万人が避難を余儀なくされた
・1994年の停戦合意後も膠着状態は続いていた
・アルメニアは分離主義勢力(自称当局)を認めていない
・アゼルバイジャンは「分離主義勢力=アルメニア軍」と認識している
・トルコはアゼルバイジャンを支援している
・ロシアはアルメニアに軍事基地を持っている
停戦
10月9日、アルメニアとアゼルバイジャンは、ロシアの仲介によりナゴルノ・カラバフをめぐる紛争の一時的な停戦に合意した。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、首都モスクワで行われた約10時間の会談後、両国が停戦に合意したと発表した。
ラブロフ外相は記者団に対し、「両国はこれから実質的な交渉を開始する」と述べた。
9月27日から始まった一連の紛争で、これまでに300人以上が死亡、数万人の市民が避難を余儀なくされた。
戦闘は9日の現地時間正午に停止され、捕虜の交換及び遺体の回収が始まる予定だという。
ナゴルノ・カラバフは公式にはアゼルバイジャンの領土だが、アルメニア人の生活エリアになっている。同地をめぐる紛争は前回の停戦合意(1994年)以来最悪の状態にあり、両国は暴力と非難を繰り返してきた。
ロシアはアルメニアに軍事基地を持っており、集団安全保障条約機構(CSTO)の同盟メンバーでもある。
ただし、ロシアはアゼルバイジャンとも密な関係を構築している。
現地の最新情報
9日、アルメニア国防省は、モスクワで会談が行われている最中も戦闘は終日続いたと述べた。
8日、アルメニア政府はアゼルバイジャン軍がナゴルノ・カラバフの歴史遺産「救世主大聖堂」を故意に砲撃したと非難した。
・歴史遺産の救世主大聖堂が破壊される
一方、アゼルバイジャン政府は、ナゴルノ・カラバフの都市、ギャンジャとゴランボイ地域がアルメニア軍の砲撃を受けた主張、民間人ひとりの死亡が確認されたと非難した。
5日にBBCニュースの取材に応じたアルメニアのニコル・パシニャン首相は、「ナゴルノ・カラバフで虐殺が始まった。この土地はアルメニアのものだ」と語っていた。
地元当局によると、9月27日から始まった一連の衝突で、ナゴルノ・カラバフの市民約70,000人が避難したという。
この地域の主要都市、ステパナケルトは数日間砲撃に苦しめられ、住民は地下室で眠れぬ夜を過ごした。なお、地域の電力網はほぼ寸断され、復旧の見通しは立っていない。
両国の主張は独立した第三者によって検証されておらず、戦闘終結の見通しは立っていなかったが、ロシアの仲介によりひとまず一時的な停戦合意に至った。
両国はナゴルノ・カラバフをめぐる過去の紛争で和解に達したことはない。
アルメニアとアゼルバイジャンが停戦に合意