中東諸国は、ムハンマド風刺漫画の権利を擁護するフランスのエマニュエル・マクロン大統領に抗議し、フランス製品のボイコットを加速させている。
一方、マクロン大統領は中東諸国の政府関係者にボイコットを防ぐよう要請した。
25日、フランス外務省は「根拠のないボイコットの呼びかけは、過激な少数派によってもたらされた」と声明を発表した。
現在、クウェート、ヨルダン、カタールの一部ショップでフランス製品が撤去されている。
マクロン大統領のムハンマド風刺漫画擁護発言は中東全域に拡散し、リビア、シリア、ガザ地区では抗議活動に発展した。
マクロン大統領はフランス人教師がムハンマドの風刺漫画を授業で生徒に見せ殺害された事件を厳しく批判し、次のように述べた。
エマニュエル・マクロン大統領:
「教師のサミュエル・パティ氏はフランス国民の権利を学生に教え、過激なイスラム主義者に殺害された」
「私たちはムハンマド風刺漫画の権利に対する不当行為を決して許さない」
イスラム教はムハンマドとアッラー(神)の描写を禁じている。預言者ムハンマドの描写はイスラム教徒を刺激し、深刻な犯罪を引き起こす可能性がある。
しかし、ライシテはフランスの国民的アイデンティティの中心である。連邦政府および州は、ある特定のコミュニティの感情を保護するために表現の自由を制限することは、団結を損うと主張している。
マクロン大統領は25日にツイッターを更新、「私たちは決して屈服しない」とツイートした。
※ライシテ:政教分離原則。国家の宗教的中立性・無宗教性および(個人の)信教の自由の保障を表す。
We will not give in, ever.
— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) October 25, 2020
We respect all differences in a spirit of peace. We do not accept hate speech and defend reasonable debate. We will always be on the side of human dignity and universal values.
トルコとパキスタンの政治指導者はマクロン大統領の発言について、「信教の自由を尊重せず、フランス国内のイスラム教徒を軽視している」と批判した。
また、トルコのタイイップ・エルドアン大統領はマクロン大統領の一連の発言を受け、「彼の精神状態をチェックすべき」と提案、「頭がおかしくなった」と侮辱した。
これに対しフランス政府は、トルコ駐在大使を自国に呼び戻している。
フランス製品ボイコットの波紋
クウェート、ヨルダン、カタールでは、一部のスーパーマーケットの棚からフランス製品が撤去された。また、食品以外の製品(化粧品など)の撤去も始まっているという。
クウェートでは、消費者協同組合連合がフランス製品のボイコットを命じた。
クウェート消費者協同組合連合の声明:
「預言者ムハンマドに対する侮辱に応え、ボイコット指令を出した」
フランス外務省は一連の動きについて、「ボイコットの呼びかけに根拠はなく、今すぐやめるべき。過激な少数派によって推進される我が国への攻撃も同様である」と声明を発表した。
インターネット上では、サウジアラビアなどの他の中東諸国もボイコットを行うべきという発言が広まっている。
一方、リビア、シリア、ガザ地区では反フランス抗議活動が行われた。
フランスとムハンマド風刺漫画
教師のサミュエル・パティ氏殺害を受け、マクロン大統領はフランスの世俗主義を強力に擁護し、過激なイスラム教徒を批判。イスラム教世界の一部の人々は怒った。
トルコのエルドアン大統領は演説でマクロン大統領を痛烈に批判、「メンタルヘルスチェックを受けるべきだ」と侮辱した。
パキスタンのイムラン・カーン首相もトルコに続き、「マクロン大統領はイスラム教を理解せずに攻撃した」と非難した。
イムラン・カーン首相:
「彼はヨーロッパおよび世界中の何百万ものイスラム教徒の感情を傷つけた」
教師が殺害される前、マクロン大統領は「イスラム分離主義」に対する厳しい法律の計画を発表していた。
この計画についてマクロン大統領は、「国内で生活する推定600万人のイスラム教徒の少数派が社会を危険にさらし、イスラム教のイメージを著しく損ねている」と述べた。
ガザ地区のパレスチナ人がマクロン大統領の肖像画を燃やす