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モルドバ当局、ロシア派の資金洗浄疑惑で家宅捜索、1人拘束

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、モルドバとロシアの関係は大きく変化し、モルドバ国内でも政治的・社会的な対立が深まった。
2021年3月7日/モルドバ、東部沿ドニエストルの市街地(Getty Images/AFP通信)

モルドバの捜査当局は23日、仮想通貨を通じてロシアと関連がある政党に資金を提供したという疑惑に関連し、30件以上の家宅捜索を行い、1人を拘束したと明らかにした。

それによると、親ロシア政党の事務所などが捜査の対象となり、資金洗浄などの疑いで1人を拘束したという。

捜査当局は9月28日の議会選挙(一院制、定数101)に先立ち、ロシア派のサイバー攻撃や偽情報拡散に警戒を呼びかけている。

捜査当局は23日の声明で、「家宅捜索で押収した証拠から、違法資金はロシア連邦の犯罪組織メンバーから提供され、仮想通貨口座を通じて送金された」と説明。「これらは違法な仮想通貨交換サービス業者を通じて層別化・流動化され、その後現金化され、最終受取人の手元に渡った」と述べた。

ロシアはモルドバへの干渉を否定している。

捜査当局は22日にも全国で250件の家宅捜索を実施し、74人を拘束したと発表していた。

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、モルドバとロシアの関係は大きく変化し、モルドバ国内でも政治的・社会的な対立が深まった。

モルドバは旧ソ連構成国であり、ロシアと歴史的・文化的なつながりが深い。しかし、ウクライナ侵攻を受けて、サンドゥ(Maia Sandu)大統領はロシアとの距離を置き、EUへの加盟を目指す姿勢を強めた。

一方で、モルドバ国内には親ロシア派も存在し、ロシアの影響力が根強い。特に、親ロシアの強硬派野党連合「勝利」は、政府の親欧米政策に反対し、抗議活動を展開している。また、ロシア語メディアの閉鎖や選挙参加の制限など、政府の対ロシア政策に対する反発も見られる。

モルドバの東部には政府の実効支配が及ばない「沿ドニエストル共和国」が存在し、ロシア軍が駐留している。この地域は親ロシア的な勢力が支配しており、モルドバとロシアの関係において重要な役割を果たしている。

ウクライナ侵攻により、モルドバは安全保障上の懸念を抱え、ロシアの影響力を排除するための努力を強化している。EU加盟を目指す一方で、ロシアとの関係も維持しつつ、バランスを取る難しい立場に立たされている。

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