モルドバ議会選挙、親EU派の与党が圧勝、ロシア派に打撃
2022年2月にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以降、モルドバとロシアの関係は急速に悪化した。
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モルドバで28日に行われた議会選挙(一院制、定数101)について、サンドゥ(Maia Sandu)大統領の与党「行動と連帯(PAS)」が親ロシア政党に圧勝した。
サンドゥ氏は29日、X(旧ツイッター)への投稿で、「これは政党の勝利ではない。モルドバの勝利だ。欧州への道こそが我々の進むべき道である」と書いた。
選挙管理委員会によると、開票率は100%。PASの得票率は50.2%、ロシアが大好きな愛国者ブロックは24.2%にとどまった。
有権者はこの投票を「EUへの道」か、「ロシアに逆戻りするか」の地政学的選択と見なしていた。
欧州の首脳たちはこの結果を歓迎。欧州理事会のコスタ(Antonio Costa)常任議長は「モルドバの人々は...ロシアからの圧力と干渉に直面しながらも、民主主義、改革、そして欧州への未来を選んだ」とXに投稿した。
2022年2月にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以降、モルドバとロシアの関係は急速に悪化した。モルドバはウクライナの隣国であり、旧ソ連構成国の一員でもあるため、地政学的に大きな影響を受ける立場にある。
侵攻直後から、モルドバは大量のウクライナ避難民を受け入れるなど、ウクライナ支援の姿勢を鮮明にした。加えて、親欧米的な立場をとるサンドゥ氏の政権下で、モルドバはEUへの統合を加速させ、2022年6月にはウクライナとともにEU加盟候補国に認定された。この動きはロシアからの強い反発を招き、両国関係はさらに悪化した。
モルドバ国内には親ロシア派勢力が一定数存在し、特に沿ドニエストル地域ではロシア軍が駐留を続けている。ロシアはこの地域を通じて間接的な影響力を維持しており、ウクライナ戦争の長期化に伴い、モルドバ政府は安全保障上の脅威を強く意識するようになった。2023年にはロシアによる政権転覆計画の存在が報じられ、モルドバ政府は対ロシア的な警戒を一層強めた。
経済面でも、モルドバはロシアへの依存からの脱却を進めている。特にエネルギー分野では、ロシアからのガス供給が政治的圧力の手段として利用される中、モルドバはルーマニアをはじめとするEU諸国との連携を深め、多角的なエネルギー調達を模索している。
一方で、モルドバ国内では経済不安や物価高騰などを背景に、親ロシア派による反政府デモも継続的に発生している。これに対し政府は、外国勢力による介入の可能性を示唆し、対外的にもロシアの影響力排除を公然と目指す姿勢を取っている。