SHARE:

モルドバ首相退任へ、議会選で親ロシア派に圧勝

レチャン氏は退任に際し、新政権が発足次第、議員辞職し、民間部門に戻る意向を示した。
モルドバのレチャン首相(右)とサンドゥ大統領(Getty Images/AFP通信)

モルドバのレチャン(Dorin Recean)首相が13日、退任の意向を示した。

レチャン氏とサンドゥ(Maia Sandu)大統領の与党「行動と連帯(PAS)」は先月末の議会選挙(一院制、定数101)で単独過半数を確保。親ロシア派の野党を圧倒した。

サンドゥ氏は近いうちに新首相を任命する予定だ。

レチャン氏は退任に際し、新政権が発足次第、議員辞職し、民間部門に戻る意向を示した。

レチャン氏は記者会見で、「私の議員としての活動は新政権の任期と同時に終了する」と語った。

憲法裁判所は10月16日に選挙結果を承認する予定だ。その後、サンドゥ氏が新首相を指名し、新内閣が発足する。

2022年2月にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以降、モルドバとロシアの関係は急速に悪化した。モルドバはウクライナの隣国であり、旧ソ連構成国の一員でもあるため、地政学的に大きな影響を受ける立場にある。

侵攻直後から、モルドバは大量のウクライナ避難民を受け入れるなど、ウクライナ支援の姿勢を鮮明にした。加えて、親欧米的な立場をとるサンドゥ氏の政権下で、モルドバはEUへの統合を加速させ、2022年6月にはウクライナとともにEU加盟候補国に認定された。この動きはロシアからの強い反発を招き、両国関係はさらに悪化した。

モルドバ国内には親ロシア派勢力が一定数存在し、特に沿ドニエストル地域ではロシア軍が駐留を続けている。ロシアはこの地域を通じて間接的な影響力を維持しており、ウクライナ戦争の長期化に伴い、モルドバ政府は安全保障上の脅威を強く意識するようになった。2023年にはロシアによる政権転覆計画の存在が報じられ、モルドバ政府は対ロシア的な警戒を一層強めた。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします