モルドバ選挙管理委員会、親ロシア政党を議会選挙から排除
2022年2月にロシアがウクライナへ侵攻して以降、モルドバとロシアの関係は緊張状態にある。
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モルドバの選挙管理委員会は26日、親ロシアの2政党を週末に予定されている議会選挙(一院制、定数101)から排除した。
捜査当局は9月28日の議会選に先立ち、市民に対し、ロシア系ハッカーによるサイバー攻撃や偽情報拡散に警戒するよう呼びかけている。
議会選への参加を禁じられた2政党は違法な資金調達と有権者買収疑惑に直面している。
このうち1党はサンドゥ(Maia Sandu)大統領の与党「行動と連帯(PAS)」の有力な対抗勢力と見なされていた。
首都キシナウの裁判所は25日、2党の活動を12カ月間禁じる判決を下した。
捜査当局は今月初め、2党の事務所や関係者宅を捜索し、有権者買収、違法な資金調達、マネーロンダリング疑惑に関連する証拠を押収。その後、裁判所に2党の活動を制限するよう要請していた。
この2党を含む親ロシア派の4党はロシアとの関係改善、恒久的な中立、政治家ではなく国民に奉仕する国家を公約に掲げている。
地元メディアの世論調査によると、与党PASは今回の選挙で過半数を割り込む可能性がある。
2022年2月にロシアがウクライナへ侵攻して以降、モルドバとロシアの関係は緊張状態にある。モルドバは旧ソ連の一国であり、エネルギー供給や経済面でロシアへの依存度が高かったが、侵攻を契機に西側との連携を強める動きを見せた。
モルドバ政府はEU加盟候補国の地位を獲得し、欧州諸国との協力を拡大している。他方で、国内には親ロシア派勢力も存在し、政局の不安定さにつながっている。特に分離独立志向の強い沿ドニエストル地域にはロシア軍が駐留しており、モルドバの安全保障上の懸念材料となっている。
さらにロシアはモルドバに対しガス供給を利用した圧力をかけ、経済的揺さぶりを試みてきた。これに対しモルドバは代替供給源の確保やエネルギー多角化を進めている。結果として両国関係は従来の依存構造から対立色を強める方向へと移行している。
またロシアはモルドバに対して直接的な軍事行動に至らない形での「ハイブリッド攻撃」を展開している。これは、軍事的手段だけでなく、情報操作、経済的圧力、政治的分断工作など多面的な手法を組み合わせる戦略である。具体的には、ロシアはプロパガンダやフェイクニュースを通じて国内の親欧州派と親ロシア派の対立を煽り、政治的不安定化を狙っている。
また、ガス供給を通じた経済的圧力をかけ、国民生活や産業への影響を通じて政府の政策決定に影響を与えようとしている。さらに、沿ドニエストル地域に駐留するロシア軍の存在を背景に、モルドバ国内で分離主義的な動きを支援し、国家統合に対する脅威を継続的に示している。サイバー攻撃も報告されており、政府機関や重要インフラへの侵入を通じて混乱を誘発する試みが行われている。
このように、ロシアのハイブリッド攻撃はモルドバを直接攻撃するのではなく、政治的・社会的・経済的脆弱性を突き、国の安定や西側との接近を阻止することを目的としている。結果として、モルドバは安全保障上の複雑な課題に直面しており、対策として西側諸国との協力や情報防衛、エネルギー多角化の強化を進めている。