◎当局は以前から、親ロシア勢力がフェイクニュースを流したり、デモで不安を煽ったりしていると警告していた。
2023年3月12日/モルドバ、首都キシナウ、サンドゥ政権の退陣を求めるデモ(Aurel-Obreja/AP通信)

モルドバの首都キシナウで12日、欧米寄りのサンドゥ(Maia Sandu)大統領に抗議する集会が開かれ、数千人が参加した。

地元メディアによると、機動隊は親ロシアの工作員とみられる54人を逮捕したという。

警察はデモを許可したものの、一部の活動家が許可ルートを外れて政府庁舎に接近したため、拘束したと伝えられている。

機動隊は許可ルート外にデモ隊がなだれ込まないようバリケードを設置した。

地元メディアは「少なくとも54人が公序良俗違反で逮捕された」と報じている。

デモを主催したのは親ロシアの極右政党「ショル党」。この党のリーダーはイスラエルに亡命したモルドバのオリガルヒであり、今年、ロシアとつながりがあるとして米国務省の制裁リストに追加された。

ショル党のタウバー(Marina Tauber)党首は集会で、「サンドゥを支持する西側パートナーは民主的なデモが弾圧されるところをなぜ黙認するのか」と批判した。「西側の皆さんは弾圧を容認しています...」

大統領府の報道官は12日、この集会を「モルドバを不安定化させるロシアの新たな試み」と非難した。

当局は以前から、親ロシア勢力がフェイクニュースを流したり、デモで不安を煽ったりしていると警告していた。

AP通信によると、許可ルートを外れた一部のデモ参加者が国会から数百メートルの地点に集まり、機動隊と衝突したという。

デモのスローガンは「政府は国民の請求書を肩代わりしろ」だった。

デモ隊はインフレや燃料価格の高騰で生活が厳しくなっていると主張し、サンドゥ政権は何もしてくれないと不満を表明した。

ある活動家グループは「米国と国交を断絶しろ」「さよならNATO」と書かれた看板を掲げて行進した。モルドバはNATOに加盟していない。

デモ隊は「独裁政権を倒せ」「サンドゥを倒せ」と叫び、市内を練り歩いた。

一方、国家警察の長官はデモに先立ち行った記者会見で、「警官は一連の家宅捜索により、デモ中に混乱をもたらそうとした疑いがある7人を拘束した」と発表した。

サンドゥ氏は2020年、汚職一掃を公約に掲げて地滑り的勝利を収め、EU加盟に向けた取り組みを進めている。

ショル党のタウバー氏は「サンドゥはモルドバを泥沼の紛争に引きずり込むつもりだ」と主張した。「あの女は西側のチームメートと一緒に紛争に参加することを望んでいるのです...」

モルドバはウクライナ南部と国境を接し、ロシア軍のミサイルの脅威に何度もさらされてきた。モルドバ東部の分離主義者が実行支配する「沿ドニエストル」にはロシア軍が駐留している。

サンドゥ氏は先月、ロシアが同政権の転覆を企てたと非難。米政府はサンドゥ政権を支持すると表明した。

ホワイトハウスは10日、ロシアがモルドバの不安定化を図り、親ロシア勢力を支援してサンドゥ政権の転覆と親ロシア政権の樹立を企てていると非難した。

モルドバ、野党・ショル党のタウバー党首(Getty Images)
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