◎停止された6チャンネルのうち4つはEUの執行機関「欧州委員会」の対ロシア制裁リストに加えられている。
モルドバ当局は17日、ロシアのウクライナ侵攻に関する誤った情報を拡散したとして、6つのテレビ局の放送ライセンスを取り消したと発表した。
規制当局は声明の中で、「対象のテレビチャンネルはモルドバに関する出来事だけでなく、ウクライナ戦争の報道においても正しい情報を伝えていないことが判明した」と述べている。
また規制当局は、「関係機関と連携して偽情報の拡散や世論操作の試みを防ぐ」としている。
停止された6チャンネルのうち4つはEUの執行機関「欧州委員会」の対ロシア制裁リストに加えられている。
欧州理事会は禁止したロシアの放送局について、「ロシア指導者の直接または間接的な支配下にあり、継続的かつ協調的な偽情報および戦争プロパガンダに利用されてきた」と指摘している。
モルドバ当局にライセンスを取り消されたTV6は声明で、「規制当局の主張に根拠はなく、表現の自由、編集の自由、報道の自由に対する前例のない攻撃だ」と非難した。
またTV6はモルドバ当局の指摘を「虚偽」と呼び、裁判に打って出ると示唆した。
ロシア外務省のザハロワ(Maria Zakharova)報道官はこの決定を「少数民族弾圧」と呼び、国際機関に調査を要請した。「モルドバ政府は世界で起きている正しい出来事を国民に伝えるという責務を放棄し、モルドバで生活するロシア語圏の市民数百万人を弾圧しています」
停止されたチャンネルの一部は親ロシアの極右ショル党に近い人々が所有している。ショル党のリーダーはイスラエルに亡命したモルドバのロシアオリガルヒである。
同党はこの数カ月、モルドバの首都キシナウで親欧米政権に反対する抗議集会を開いている。
モルドバのサンドゥ(Maia Sandu)大統領は規制当局の決定を歓迎した。
サンドゥ氏は声明で、「この困難な時期に国家安全保障と市民の平和な生活を破壊しようとする試みを受け入れることはできない」と述べている。
イギリスは先週、ショル党のロシアオリガルヒを制裁リストに追加した。米国務省も制裁リストに加えている。
モルドバは人口260万人の旧ソ連構成国で、ウクライナに対するロシア軍のエネルギーインフラ攻撃により、広範な停電に見舞われた。また同国は他のEU加盟国と同じく、ロシア産天然ガスのルーブル建てを拒否し、深刻なエネルギー危機に直面している。