◎イタリア南部の島々はアフリカ系移民のホットスポットであり、毎年数万人の移民がアフリカ北部から地中海に漕ぎ出す。
イタリアからアルバニアに移送された移民12人がローマ地裁の決定を受け、イタリアに戻された。
イタリア海軍の艦船は19日、イタリア南部の港に到着。警察が12人を引き取り、移民収容センターに移送した。
イタリア政府は先週、アルバニアに2つの移民収容センターを開設した。ここでは亡命を希望する男性移民を処理する。
イタリア政府によると、両センターは400人の不法移民を一度に処理でき、収容数は数週間後には880人にまで増える見込みだという。
女性、子供、高齢者、病気や暴力の被害者はイタリアの施設に収容される。家族が引き離されることはない。
イタリアのメローニ(Giorgia Meloni)首相とアルバニアのラマ(Edi Rama)首相は昨年11月に移民の受け入れに関する協定に署名。その期間は5年間で、イタリアの沿岸警備隊が国際水域で摘発した移民のうち、毎月最大3000人をアルバニアの施設に送る。
アルバニアは収容した移民を精査し、本国に送還するかどうかを決める。
イタリア海軍は今週、移民16人(バングラ人10人、エジプト人6人)をアルバニアの港に移送し、当局に引き渡したが、うち4人は審査で不合格となり、イタリアに戻されていた。
ローマ地裁はアルバニア政府が12人を本国に送還する可能性があること。12人の母国であるバングラとエジプトが安全であるとは言えないとして、12人をイタリアに戻すよう命じた。
イタリアの法律では各移民の処遇を裁判所が審査する。
メローニ氏はローマ地裁の決定を「馬鹿げたもの」と呼び、バングラやエジプトといった国を安全でないとみなせば、イタリアに渡ったほぼ全ての移民をアルバニアに送れなくなると主張した。
ピアンテドージ(Matteo Piantedosi)内相は19日、決定を不服として控訴すると明らかにした。
イタリア南部の島々はアフリカ系移民のホットスポットであり、毎年数万人の移民がアフリカ北部から地中海に漕ぎ出す。
地中海は世界で最も多くの死者を出している亡命ルートのひとつだ。国際移住機関(IOM)によると、昨年は2500人以上の移民が死亡または行方不明となった。
EUは地中海の警備を強化しており、その結果、今年イタリアに到着した移民の数は23年比で6割ほど減少した。
イタリア内務省によると、今年海路で同国に到着した移民は10月11日時点で5万2425人。昨年同時期は13万8947人であった。