◎マクロン氏の政策に反対する主要野党は対決姿勢を崩さず、協力に乗り気ではないように見える。
フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領は22日、テレビ演説で今後の政権運営などについて国民に説明した。
マクロン氏は先週末の国民議会選で過半数を失ったことを受け、2日続けて野党党首らをエリゼ宮殿に招き、連立の可能性などについて協議した。
しかし、マクロン氏の政策に反対する主要野党は対決姿勢を崩さず、協力に乗り気ではないように見える。
マクロン氏はテレビ演説の中で、「我々は異なる集団であることを理解したうえで、国を運営する方法を見いださなければならない」と述べ、野党の支持を得るために妥協する可能性があると示唆した。
「政治の行き詰まりは許されません。取引しなければならないということです」
マクロン氏の与党連合は245議席を獲得したものの、過半数には44議席届かず、前回から議席を102も落とした。
<仏国民議会選挙 定数577>
▽与党連合:245議席(▼102)
▽Nupes:131議席(▲73)
▽国民連合:89議席(▲82)
▽共和党:64議席(▼56)
▽その他左翼:22議席
▽無所属:26議席
野党第1党に躍り出たメランション(Jean-Luc Melenchon)氏率いる左翼連合「Nupes」は131議席を獲得した。
最も危険な極右と恐れられているルペン(Marine Le Pen)党首率いる「国民連合」は82議席も伸ばした。ルペン氏はこの結果を「歴史的」と呼び、「マクロンの冒険は終わった」と述べた。
専門家によると、仏国民議会で右翼と左翼がこれ程多くの議席を獲得するのは極めて異例だという。
マクロン氏は、「新たな議会の構成はフランスが分断されたことを示している」と述べた。
またマクロン氏は過半数を維持できると信じていると語った。「私は協力を得られると信じています...」
マクロン氏は与党連合の政権公約を改めて説明し、政策を根本的に変えるつもりはないと示唆した。この政権公約にはインフレ対策、購買力強化、減税、定年の段階的引き上げなどが含まれる。
マクロン氏は各政党に対し、「今後2日以内に連立政権を樹立する用意があるか、あるいは特定の法案を支持すると約束するか」を表明するよう促した。
左翼と右翼の党首は「連立は選択肢にない」と示唆している。
一部の専門家は与党連合と共に大敗を喫したサルコジ(Nicolas Sarkozy)元大統領の共和党がマクロン氏にいくつかの妥協を提案し、連立すると予想している。
極右との連立はありそうにない。マクロン氏はすべての権力を政府に集中させる国民連合の構想を強く否定している。
マクロン氏は23日から外遊をスタートさせる。6月23~24日のEU首脳サミットに出席したのち、ドイツで行われるG7サミット(6月26~28日)、スペインのNATOサミット(6月29~30日)に出席する予定。