◎マクロン大統領は6月8日、「ツアー・ド・フランス」と呼ばれる遊説イベントでドローム県のタン=レルミタージュを訪問し、28歳の男にビンタされた。
2021年6月9日/フランス、パリのエリゼ宮殿、エマニュエル・マクロン大統領(Ludovic Marin/AP通信/Pool)

フランスの主要メディアによると、エマニュエル・マクロン大統領を平手打ちし逮捕された容疑者の自宅から武器とアドルフ・ヒトラーの著書、我が闘争のコピーが見つかったという。

マクロン大統領は6月8日、「ツアー・ド・フランス」と呼ばれる遊説イベントでドローム県のタン=レルミタージュを訪問し、28歳の男にビンタされた。

警察当局はビンタ男のダミアン・タレル容疑者と同行者のアーサー・Cと呼ばれる男を逮捕したうえで、9日に家宅捜索を行った。アーサー・C容疑者はタレル容疑者の凶行の様子を撮影していたと伝えられている。

AFP通信によると、本と武器はアーサー・C容疑者の自宅で見つかったという。

AFPは、「自宅で回収された武器の中には刀、短剣、ライフルなどが含まれていた」と報じた。これらの武器が正常に機能するかどうかは明らかにされていない。

マクロン大統領は腰高の金属フェンスの向こう側にいる人々に挨拶しようと走り寄り、緑の服を着たタレル容疑者にパチンとビンタされた。ボディガードは大統領のすぐ後ろにいたが、攻撃を阻止することはできなかった。

ガブリエル・アタル大統領報道官は8日、「マクロン大統領はセキュリティ当局から群衆に近づきすぎないよう警告されていた」という報道は事実ではないと述べた。「大統領はこれからもフランス国民と接し続けます」

ビンタ事件から数時間後、マクロン大統領は記者団に対し、「超暴力的な人々による公開討論のハイジャックを許してはならない」と述べた。

2021年6月8日/フランス南東部、ドローム県のタン=レルミタージュ、エマニュエル・マクロン大統領(EPA通信)

マクロン大統領を平手打ちしたタレル容疑者は、極右、君主主義者、そして中世フランスの歴史に興味を持っていたと考えられている。

タレル容疑者のインスタグラムには、中世の衣装を着用し長い剣を持つ自分の写真が投稿されていた。タレル容疑者は、「私はヨーロッパの歴史的な武術を継承する全国連盟の一員」と書いているが、事実かどうかは不明。

一方、タレル容疑者の友人、ロイック・ドリアック氏はソーシャルメディアの投稿の中で、「彼は政治に批判的であり、現政権を含むフランスの政治への怒りを平手打ちで表現した可能性がある」と述べた。

ル・パリジャン(日刊紙)は、「調査の結果、容疑者の思想はイデオロギーの泥沼であることが分かった」と報じた。

タレル容疑者はビンタを打ち込む際、「マクロン主義に打ちのめされた」と述べ、王国時代の雄叫びとして知られている「モンジョイ!サン・ドニ!」と大声で叫んでいたことが確認されている。

専門家はこの雄叫びについて、1993年のヒット映画「おかしなおかしな訪問者(原題:Les Visiteurs)」に登場した中世の鎧を着た人物をまねている可能性があると指摘した。ジャン・レノ演じるゴッドフロアは同作の中で「モンジョイ!サン・ドニ!」と叫んでいる。

検察によると、タレル容疑者は何も考えずにビンタを打ち込んだと供述したという。「容疑者は捜査員に、社会的および経済的正義のために行動し、右または極右の政治的信念を持っていると供述しました...」

マクロン大統領と対立する極右のマリーヌ・ル・ペン党首(国民連合)は、事件を即座に非難した議員のひとりだった。2022年の大統領選挙はマクロン大統領とル・ペン党首の一騎打ちになると予想されている。

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