◎ルカシェンコ大統領「リトアニア当局は移民希望者を生きたまま袋に押し込み、国境付近に投げ捨てたのです。なんと忌まわしい!」
11月29日、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、リトアニア当局が国境付近に移民希望者の遺体を遺棄したと主張し、厳しく非難した。
ルカシェンコ大統領は29日に行われた軍当局との会議の中で、移民希望者2人の遺体を国境付近で回収したと明らかにした。「ベラルーシの国境警備隊は2人の遺体を回収し、手厚く弔いしました。しかし、リトアニア当局は彼らを生きたまま袋に押し込み、国境付近に投げ捨てたのです。なんと忌まわしい!」
リトアニアの国境警備当局は29日、ルカシェンコ大統領の主張を却下したうえで、「ルカシェンコは移民希望者をベラルーシに集め、国境付近に押しやり、殴打し、痛めつけ、凍死させようとしている」と非難した。「ルカシェンコは移民に対する非人道的な扱いを隣国になすりつけようとしています...」
ポーランド、リトアニア、ラトビアはここ数カ月、国境を接するベラルーシから入国を試みる移民希望者の急増に悩まされてきた。移民は主にアフリカ、イラク、シリア、アフガニスタンの難民で構成されている。
ルカシェンコ大統領はウクライナ東部の情勢について、「ウクライナ軍がロシアの支援を受ける政府に攻撃を仕掛けた場合、ベラルーシはロシアの真後ろに立つだろう」と脅迫した。「ロシアの同盟国に対する挑発は到底容認できず、ウクライナが戦争を仕掛けた場合、我々はロシアと共に敵国を激しく攻撃するでしょう...」
ロシアは2014年にウクライナ南東部のクリミア半島を併合し、クリミアを「自国の領土」と宣言したが、国際社会はこれを認めていない。
その後、クリミアの北東部に位置するドネツクとルハンシクの分離主義者はウクライナからの独立を宣言した。ロシアは「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したが、国際社会とウクライナは分離主義者をテロリストと見なしている。
ルカシェンコ大統領は、「ベラルーシの国境警備隊は29日にリトアニアの国境付近で凍死しかけていた移民希望者を保護した」と述べた。「子供を含む移民希望者はリトアニア人に蹴られ、殴られ、追い返されたと言いました。リトアニア人は命を何だと思っているのですか?」
EU当局はベラルーシの移民送り込みを「ハイブリッド攻撃」と非難しているが、ルカシェンコ大統領はこの主張を却下している。
ポーランドとベラルーシの国境付近に閉じ込められた数千人の移民希望者の多くがドイツへの亡命を求めているが、ポーランドは入国を拒否しており、問題が解決する見通しは全く立っていない。
一方、ロシアの国営メディアによると、ウラジーミル・プーチン大統領は29日にルカシェンコ大統領と電話会談を行い、国境の問題について話し合ったという。
ベラルーシのヴィクトル・クレニン中将は29日、ウクライナ東部で進行中の問題を念頭に置き、「ロシア軍との合同軍事演習をウクライナの国境付近で行う」とけん制した。「ウクライナが戦争を始めた場合、私たちがどちら側に立つかは火を見るよりも明らかです...」
ウクライナ政府とNATO(北大西洋条約機構)は、ロシア軍がベラルーシの領土を利用してウクライナに侵略する可能性があると懸念を表明している。しかし、ロシアはこの侵略計画を否定し、「西側諸国はロシアを悪者にし、ドネツクとルガンスクに対する侵略を隠蔽しようとしている」と非難した。
ルカシェンコ大統領は、「国境付近で戦争が勃発した場合、ベラルーシ軍はロシアと共に立つ」と誓った。