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仏ルーブル美術館で1日ストライキ、労組が職場環境の改善求める

組合員は旗や横断幕、プラカードを掲げ、美術館の象徴でもあるガラスのピラミッド入口を封鎖した。
2025年12月15日/パリ、フランスのルーブル美術館(AP通信)

フランス・パリのルーブル美術館の職員がストライキを実施することを正式に決定し、混乱が生じている。労働組合「CFDT」によると、約400人の組合員が参加した会合でストが賛成多数が採択され、15日に1日限りのストが行われた。

組合員は旗や横断幕、プラカードを掲げ、美術館の象徴でもあるガラスのピラミッド入口を封鎖した。

今回のストは労働条件の悪化や人手不足、セキュリティ体制への不満などを背景としている。労組側は来館者数が増加する一方でスタッフ数が減少していることに加え、職場環境がますます悪化していると主張している。

これらの問題は今年10月に宝飾品が盗まれるという窃盗事件を受けて批判が高まった状況とも絡んでいる。窃盗団は白昼堂々と美術館に侵入し、数分間でフランス王室ゆかりの宝飾品を奪取、その多くが未だ回収されていない。

労組によると、今回のストの主要な要求には労働条件の改善、人員補強、安全対策の強化が含まれている。また、非EU圏からの来館者を対象とするチケット価格の大幅な引き上げに対する反発も強いという。この値上げは美術館の改修費用を賄うための措置とされているが、職員側はインフラ整備よりもまず日々の運営体制の強化と適正な労働環境の確保が必要だと訴えている。

このストにより、通常であれば1日平均約3万人の訪問者が見込まれるルーブル美術館は休館となり、多くの観光客が入館を断られる事態となった。入場を楽しみにしていた訪問者の中にはチケットを既に購入していた人も多く、失望の声が上がったという。美術館のスタッフは来館者サービスにも支障が出るほどの過重な業務負担と管理側との対立が長期間続いてきたと説明している。

中央政府はこの対応として美術館の抜本的な改革案を検討中。来年2月までに改善策の提言を行う予定である。この提言は労働条件や安全対策の向上、インフラ整備といった幅広い分野を対象とする見込みだ。

一方、美術館側は以前、窃盗事件後のセキュリティ体制について「重大な過ちがあった」と認めており、労働者側の不満に理解を示す立場を示している。しかし、政府当局と労組の間では依然として意見の隔たりが大きく、今後ストが継続される可能性もある。労組は次回の協議を直近で予定しており、必要であればさらなる行動を取る構えだ。

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