ルーブル美術館で警備強化工事始まる、2階窓に鉄格子設置
23日の作業は美術館が閉館している早朝に行われ、作業員らが慎重に格子を取り付けた。
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フランス・パリのルーブル美術館が10月に発生した宝飾品盗難事件を受け、侵入に使われた窓に金属製の防護格子を設置するなど警備強化を開始した。12月23日、作業員たちは保守用リフトを用い、盗難現場として国際的に注目されたアポロギャラリーの2階バルコニーに面した窓の外側に新たな格子を取り付けた。
10月19日の盗難事件では窃盗団が作業員に扮してリフトを用い、同じバルコニーまで到達したのちガラス窓を切断して建物内に侵入。ティアラ、エメラルドのイヤリング、サファイアのネックレスなど複数の宝飾品を短時間で奪い去った。犯行に要した時間は約8分とされ、世界で最も来館者の多い美術館の警備体制の脆弱さが国際的な批判を浴びた。事件後、4人の容疑者が逮捕・起訴されたものの、盗まれた宝飾品の大半は見つかっていない。
23日の作業は美術館が閉館している早朝に行われ、作業員らが慎重に格子を取り付けた。工事の責任者は記者団に対し、「私たちは以前からルーブルで内部・外部の作業を行っており、美術館側とも顔なじみだ」と述べ、今回の作業の経緯を語った。ルーブル側はこの工事に関するコメントを出していない。
今回の格子設置は警備改善策の一部とみられている。盗難事件以降、専門家らは美術館の外壁やバルコニー周辺に十分な防犯カメラが設置されていなかったことや、侵入経路となった窓周辺の防護措置が不十分だった点を指摘していた。こうした指摘を受けて、ルーブルでは一部の外部監視体制の見直しや将来的な防犯カメラの増設など、総合的な警備強化の計画が進められている。
また、今回の事件は美術館内部の運営や施設管理にも波紋を広げている。10月以降、職員の労働条件や施設改修の遅れを巡るストライキが発生し、美術館の一部展示エリアが閉鎖される事態となった。労働組合は慢性的な人手不足や改善の遅れを指摘し、盗難事件がこれらの問題を浮き彫りにしたとして、運営側の対応を強く批判している。文化省が支援策を提示する一方で、職員と経営陣の間で意見の隔たりが続いている。
ルーブルは世界的な観光地であり、モナリザやミロのヴィーナスといった名作を有する一方で、宝飾品展示は比較的小規模ながらも歴史的価値が高い。今回の事件はこうした至宝が持つ文化的・歴史的意義とともに、安全管理の重要性を改めて世界に示すことになった。今後の警備強化策がどの程度まで進展するか、国内外の関心が集まっている。
