◎リトアニア国境警備隊によると、今年ベラルーシからリトアニアに不法入国を試みた不法移民はすでに4,000人を超えたという。
8月10日、リトアニアの議会はベラルーシとの国境にフェンスを設置し、イラク人やアフガニスタン人を含む不法移民の流入を阻止する法案を可決した。
リトアニア国境警備隊によると、今年ベラルーシからリトアニアに不法入国を試みた不法移民はすでに4,000人を超えたという。当局者は、「ベラルーシはイラクやアフガニスタンから移民希望者を集め、リトアニアに渡るよう仕向けている」と主張したが、ベラルーシ当局はこれを否定している。
ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は隣国リトアニアが主要な野党指導者や関係者の亡命を受け入れ、活動を支援していることに腹を立てている。
ルカシェンコ大統領は5月、ギリシャ発リトアニア行きの英ライアンエアーの旅客機を首都ミンスクの空港に強制着陸させ、搭乗していたベラルーシの反体制派ジャーナリストとガールフレンドを逮捕した。それ以来、ベラルーシとEUの関係は急速に悪化し、EUは事件から約1か月後に制裁を強化した。
ベラルーシから隣国のリトアニア、ポーランド、ラトビアに渡る移民の数は急増しており、EUはルカシェンコ大統領の嫌がらせによる圧力と加盟国の支援要請の対処に追われている。
ラトビア政府は10日、ベラルーシ国境の警備体制を強化する非常事態宣言を発令した。これにより、国境警備隊は不法移民を強制送還できるようになり、軍隊と警察の応援も許可された。
しかし、ルカシェンコ大統領は9日の声明で隣国の強制送還を受け入れないと誓い、あらゆる措置を講じて問題に対処すると警告した。
リトアニア政府はベラルーシとの国境数百キロにかみそりワイヤーで覆われた高さ4mの金属フェンスの設置を目指している。地元メディアによると、費用は約1億5,200万ユーロ(200億円)と見込まれているという。
アグネ・ビロタイト内相はロイター通信の取材に対し、「この物理的な障壁がなければ、リトアニアを守ることは不可能です」と語った。「政府は関係機関などと協力して、速やかにフェンスを設置する予定です...」
一方、EUの報道官は10日の声明で、「EUはフェンスには資金を提供しない」と述べた。EUはこれまでのところ、国境警備にあたる要員とその他の物資をリトアニアに提供している。
不法移民を押し戻すという厳しい政策は先週から本格的に始まり、赤十字社はリトアニア政府に国際法を遵守しなければならないと警告した。リトアニア赤十字社のエグル・サムチョバイテ氏はAP通信の取材に対し、「難民の地位に関するジュネーブ条約、EU基本権憲章、およびその他の人権文書は亡命を求める人々に対する暴力を容認しません」と述べた。
国境近くに設置された複数の移民拘留センターを管理しているリトアニア国境警備隊によると、不法移民の多くはイラクからベラルーシに渡った移民希望者だという。
鉄の拳でベラルーシを支配するルカシェンコ大統領は昨年の大統領選からちょうど1年にあたる8月9日に記者会見を開催し、「国境付近の情勢はますます悪化している」と語った。「隣国は国境での行動を控えなさい。さもなければ、彼らはアゴに靴下を履く(大変な目に遭う)ことになるでしょう...」
ルカシェンコ大統領は昨年の大統領選で有効票の90%以上を獲得したと主張したが、西側諸国と野党はこの主張を却下し、広範な抗議活動が勃発した。ルカシェンコ当局は平和的な抗議者を35,000人以上逮捕し、数千人を残酷に殴打し、一部の野党指導者を刑務所に送った。
東京2020五輪にベラルーシ代表として出場した陸上のクリスティーナ・ツィマノスカヤ選手はルカシェンコ当局に強制帰国を命じられたが、隣国ポーランドの人道ビザに助けられた。