◎リトアニアは昨年、首都ビリニュスに事実上の大使館である台湾駐在員事務所を開設し、事務所の表記をチャイニーズ・タイペイではなく「台湾」とすることに合意した。
1月6日、中国はリトアニアと台湾をめぐる一連の問題について、リトアニアへの支持を表明した米国を厳しく非難した。
外務省の汪文斌(ワンウェンビン)報道官は記者団に、「米国はリトアニアを利用して中国を封じ込めようとしている」と述べた。「米国はひとつの中国を否定したリトアニアを擁護し、台湾独立軍を容認する小さな派閥を形成しようとしています...」
旧ソ連構成国とは思えないほど民主的なリトアニアは昨年、首都ビリニュスに事実上の大使館である台湾駐在員事務所を開設し、事務所の表記をチャイニーズ・タイペイではなく「台湾」とすることに合意した。EU加盟国で台湾の名を事務所につけることを許可した国はリトアニアが初めて。
11月の事務所開設から数日後、中国はリトアニアとの外交関係を格下げした。
台湾は完全な独立国家だが、共産党はそれを中国の一部と主張している。
人口わずか280万人のリトアニアの抵抗は称賛を集め、多くの人権活動がその気概を見習うよう国際社会に呼びかけた。
しかし、リトアニアのギタナス・ナウセダ大統領は今週、「台湾事務所の開設は間違いではないが、名前に問題があったと思う」と述べ、中国に配慮する姿勢を見せた。
台湾のリトアニア事務所などによると、中国はリトアニア産の輸入品を税関で恣意的にブロックし、圧力をかけているという。欧州の主要メディアも、「リトアニアの民間企業やトレーダーは恣意的な貿易制裁に苦しめられている」と報じた。
リトアニアの貿易に占める対中比率は1%ほどで、他のEU同盟国よりはるかに低い。
ナウセダ大統領は4日に放送されたラジオインタビューの中で、「私たちは対処しなければならない」と述べた。
中国外務省はナウセダ大統領の発言を歓迎したが、「間違いを認めるだけでは問題は解決しない」とさらなる行動を促した。共産党はリトアニアに対する貿易制裁を否定しているが、EUを統括する欧州委員会は中国の措置を非難し、世界貿易機関(WTO)に異議を申し立てる予定である。
同盟国の窮状を見た台湾は5日、リトアニア産ラム2万本を購入し、さらにリトアニア向けの投資ファンドを創設すると明らかにした。
中国は台湾の投資ファンド計画を却下し、「外国勢力に支援を求めても問題は解決せず、行き詰まるだけだ」と非難した。
一方、ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相と会談したアントニー・ブリンケン米国務長官は6日、「リトアニアに対する中国のいじめを懸念している」と述べ、対応を改めるよう促した。
またブリンケン国務長官は、「中国は欧米の企業にリトアニア製の部品を使わないよう圧力をかけ、拒否した企業を中国市場から排除しようとしている」と非難した。
ベアボック外相も中国を非難し、「欧州はリトアニア側に立っている」と強調した。
リトアニアのナウセダ大統領はグラついているように見えるが、議会と外交トップは中国の圧力に立ち向かう姿勢を強調している。
リトアニアの外務省は英BBCニュースのインタビューの中で、「政府は”台湾”駐在員事務所の開設を認めるという決定を固辞している」と語った。また外相は先日の会見で台湾事務所の命名について、「大統領に相談し決めた」と強調した。
ドヴィーレ・サカリーニ議員も地元メディアに、「リトアニアは中国のブーツにキスをするつもりはない」と述べ、圧力には屈しないと強調した。