リトアニア首都の空港にまた気球飛来、運航再開も混乱続く
今回の気球侵入事件はリトアニア国内で多発している同様の空域違反の一環とみられている。
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リトアニアのビリニュスの国際空港が6日、空域を一時閉鎖した後、運航を再開した。空港を運営する機関は空域への「気球のような物体の侵入」を受け、航空機の安全確保のために一時的に運航を停止していた。
最初の閉鎖は5日の午後7時36分に始まり、1時間半後の9時6分に解除された。ところがその後、午後10時24分に再び空域で気球のような物体のナビゲーション信号が検知され、空域は再び閉鎖され、深夜に解除された。さらに翌6日未明には再び類似の信号があり、午前2時30分まで運航停止が続いた。
この一連の空域閉鎖により、計27便、3134人の乗客が影響を受けた。うち5便は他空港へ迂回し、17便が遅延、5便が欠航した。空港は乗客に対し航空会社への問い合わせを呼びかけている。
今回の気球侵入事件はリトアニア国内で多発している同様の空域違反の一環とみられている。関係当局はこれらの気球が隣国ベラルーシから密輸目的で投下されたものだと主張している。特に違法たばこの運搬が目的とされ、気球の使用は密輸組織によるものとみられている。
当局はこれらの気球の侵入は単なる犯罪行為にとどまらず、国家への安全保障上の挑発、いわゆる「ハイブリッド攻撃」にあたると断じており、空港の閉鎖や国境管理の強化を含む多方面での対応を検討している。以前には空港とベラルーシとの国境検問所が一時的に閉鎖された。
リトアニアの政府関係者によると、10月以降、ビリニュス空港では少なくとも10回以上の空域閉鎖が起きており、今回もその延長線上の事案だという。気球の飛来は夜間に集中しており、風向きや気象条件を読みながら定期的に投下されているという情報もある。
一方で、航空利用者らへの影響も無視できず、多くのフライトが遅延または欠航、迂回となったことで、旅行者や物流の混乱が生じている。空港側はキャンセルや遅延便に関して航空会社との連携を呼びかけている。
このような気球による空域侵入をめぐる事件は単なる密輸ではなく、国際的な緊張や安全保障の問題へと発展しかねない事案として、欧州やNATO加盟国の間で警戒心が高まっている。リトアニア政府は違法な気球の飛来を阻止するための防衛策や規制の強化を検討しており、航空当局・治安当局とも連携を深める方針だ。
今回の運航再開によって一時的な混乱は収束したが、問題の根本が解決されたわけではない。空域安全の確保と密輸対策、そして域内の防衛体制の強化が今後ますます重要となる。
