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ルーマニア・ブカレスト市長選、中道候補が極右破る、親EU路線継続

この結果はEU加盟国の首都として初めて極右政党による市政運営が実現する可能性を懸念していた世論にとって、大きな安堵となった。
 
2024年11月30日/ルーマニア、首都ブカレスト(ロイター通信)

ルーマニア・ブカレストで7日に行われた市長選挙について、中道のチウク(Ciprian Ciucu)氏が右派候補を破った。

選挙管理委員会によると、開票率約90%の時点でチウク氏の得票率は35.4%、極右のアレクサンドレスク(Anca Alexandrescu)氏は22.35%。地元メディアはチウク氏の圧勝と報じている。

この結果はEU加盟国の首都として初めて極右政党による市政運営が実現する可能性を懸念していた世論にとって、大きな安堵となった。

ブカレストの市長ポストは前任のニクソル・ダン(Nicusor Dan)大統領の辞職以来、空席となっていた。ダン氏は5月の大統領選で勝利した。

チウク氏は親EU・中道右派の与党連合の一員である国民自由党(PNL)に所属、ボロジャン(Ilie Bolojan)首相の盟友である。今回の勝利はEU重視および中道を掲げる連立政権にとって政治的な追い風となる。

一方、極右・ルーマニア統一連盟(AUR)を支持するアレクサンドレスク氏は欧州懐疑主義や移民規制、米国の保守路線支持などを公約に掲げ、多くの注目を集めていた。

AURは世論調査で国政支持率の上位にあるものの、ブカレストは同党の拠点ではなく、今回の敗北は同党による政権獲得への道を遠ざける結果となった。

専門家は今回の選挙結果について、「与党連合、とりわけPNLに力をもたらし、連立内の勢力バランスの安定化につながる」と分析。さらに、今月予定されている司法年金改革を巡る不信任決議案に対しても、政府が一枚岩で対処できる見通しを示した。

チウク氏は選挙直後、「市長として、約束した改革を実行するために尽力する」と語っており、市政運営と同時に、国家レベルの改革に対する支持基盤の強化を目指す姿勢を示している。

今回の結果は昨年ロシアによる関与が疑われやり直しとなった大統領選挙の混乱を経て、政局が不安定になっていた同国において、安定かつ中道親欧路線への回帰を示すものと受け止められている。国際社会、とりわけEUの関係国にとっても重要な意味を持つ選挙結果となった。

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