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ラトビア、DV防止条約から脱退へ、議会が承認

イスタンブール条約(正式名称:女性に対する暴力および家庭内暴力の防止とこれに対する闘いに関する欧州評議会条約)は2011年にトルコのイスタンブールで採択され、2014年に発効した。
ラトビアのエビカ・シリニャ首相(ロイター通信)

バルト3国ラトビアの議会(一院制、定数100)は30日、13時間に及ぶ激しい議論の末、イスタンブール条約からの脱退手続きを開始する決議案を賛成多数で可決した。

イスタンブール条約(正式名称:女性に対する暴力および家庭内暴力の防止とこれに対する闘いに関する欧州評議会条約)は2011年にトルコのイスタンブールで採択され、2014年に発効した。

欧州評議会の加盟国を中心に署名・批准が進められており、女性や家庭内での暴力を人権侵害および差別の一形態として明確に禁止している点に特徴がある。

条約は四つの柱を中心に構成されている。それは「防止」「保護」「訴追」「政策の統合」である。締約国は被害者支援制度の整備、加害者への刑事罰、教育や啓発活動の実施などを義務づけられる。

特にジェンダーに基づく暴力の根絶を目指す包括的な国際文書として評価されている。

一方で、条約が「ジェンダー」という概念を強調していることから、一部の国では伝統的な家族観との衝突や政治的反発も生じている。

トルコは2021年に脱退を表明し、国内外で大きな議論を呼んだ。

ラトビアは2024年に同条約を批准したばかりであった。

近年、欧州の超保守派団体や政党は「ジェンダーイデオロギー」が児童に害を及ぼすと批判してきた。

ラトビアの野党は9月、条約からの脱退手続きを開始。これに三党連立政権の一部議員が加わった。

2023年に条約批准を公約に掲げたシリニャ(Evika Siliņa)首相は離脱の動きを批判してきた。

シリニャ氏は29日、決議案が可決されたことを受け、女性の権利拡張を推進するという政権の公約が後退したことを認め、賛成に票を投じた議員を批判した。

現地メディアによると、29日夜に首都リガの国会議事堂前では脱退に反対する集会が開かれ、約5000人が参加したという。

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