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チャールズ英国王、クリスマスメッセージで慈愛と団結呼びかけ

国王はロンドン中心部のウェストミンスター寺院で、対立ではなく「親切」に焦点を当てるよう国民やコモンウェルス(英国連邦)諸国の人々に訴えた。
2025年12月11日/イギリス、ロンドン、チャールズ国王(AP通信)

イギリスのチャールズ国王(King Charles III)は12月25日、世界各地で紛争や対立が続く現状を踏まえ、親切と思いやり、団結の重要性を強調するクリスマスメッセージを発表した。

国王はロンドン中心部のウェストミンスター寺院で、対立ではなく「親切」に焦点を当てるよう国民やコモンウェルス(英国連邦)諸国の人々に訴えた。

冒頭で国王は、聖書に基づくクリスマス物語を引き合いに出し、東方の博士や羊飼いたちが夜を越えて救い主を探し求めた旅路の例を挙げ、「他者との連帯と親切の中にこそ私たちは強さを見いだすことができる」と述べた。

また国王は「こうした生き方は、全ての主要な宗教で深い希望と逆境に対する回復力をもたらす」と語り、赦しや隣人を知ること、互いへの尊重が「正義が不正に打ち勝つ力」を育むと訴えた。

この年の放送はロシアのウクライナ侵攻や世界各地の紛争がヨーロッパや国際社会に影を落とす中で行われた。また、イギリス国内でも移民政策を巡る議論や公共サービスの逼迫といった政治的対立が深まっている。こうした状況を背景に、国王は国民が分断ではなく共通の価値に立ち返ることの重要性を強調した。

メッセージの最後にはウクライナ合唱団によるクリスマスキャロルが流され、国際的な連帯と平和への願いが強調されていた。国王は宗教間の共通点にも言及し、異なる信仰を持つ人々が「平和と生命への深い敬意」という共通の願いを抱いていることに勇気づけられると語った。

また国王はイギリスとコモンウェルス諸国が共有する歴史的な価値観を振り返り、これらの価値が分断や困難に直面しても人々を結びつける基盤であると述べた。歴史的な巡礼の意義にも触れ、過去を振り返り教訓を学びながら未来へ進むことの比喩として「巡礼」という言葉を用いた。これはウェストミンスター寺院が王族の戴冠式や結婚式の会場として長年の歴史を持つこととも重なると説明した。

クリスマスメッセージはイギリスやコモンウェルスの多くの家庭で午後3時、家族が祝宴を楽しむ時間帯に視聴される。また、録画された演説には国王自身が家族とともに公務を行う様子や市民との交流が収められ、国王の人間味ある側面も伝えられた。

今年のメッセージは親切と団結が現代の複雑な社会における基本的な指針であるとの強いメッセージを発信し、紛争や内部の対立を超えて人々が共通の人間性を再確認する機会となった。王室はこのクリスマスメッセージが個々の生活や地域社会での思いやりの実践につながることを期待している。

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