◎ジョンソン首相は2020年末、北アイルランド議定書を含むブレグジット協定に署名した。
2022年5月13日/イギリス、ロンドンの首相官邸、ジョンソン首相(Frank Augstein/AP通信)

イギリスのジョンソン(Boris Johnson)首相は16日、北アイルランドの新連立政権の発足を妨げている「北アイルランド議定書(ブレグジット協定のひとつ)」の行き詰まりを解消するために北アイルランドを訪問する予定である。

ジョンソン首相はEUが2020年末に締結したブレグジット協定の見直しに応じなければ、協定を破棄すると圧力をかけている。

▽北アイルランド議定書では、北アイルランドとアイルランド(EU)間の通商に支障が出ないよう税関などの国境管理措置を設けないと定めている。その代わりに、英連邦の他の国(イングランド、ウェールズ、スコットランド)から北アイルランドに入る一部の商品に税関が必要になった。

一方、今月初めの北アイルランド議会選で野党に降格した民主統一党はジョンソン首相が北アイルランド議定書を見直さない限り、連立政権どころか議会の開催すら拒否すると脅迫している。

数十年にわたる北アイルランド紛争に終止符を打った1998年の和平協定が定める強制的な権力分立により、同国の副首相は第二党から選出しなければならない。

議会選を制したシン・フェインは北アイルランド紛争でテロ攻撃を繰り返した過激派組織IRA(アイルランド共和軍)のかつての政治部門で、アイルランドの統一とイギリスからの独立を目指している。

ジョンソン首相は15日、北アイルランドの指導者たちに仕事に戻るよう促し、小麦の価格高騰に伴う「ブレット&バター」問題に対処するよう求めた。

またジョンソン首相は、EUは北アイルランド議定書の問題で譲歩することを拒否していると非難した。

北アイルランドの組合は「英連邦でありながらなぜイングランドとの通商に関税がかかるのか」と憤慨している。

ジョンソン政権も議定書が統一アイルランドを目指すナショナリストと組合を支持するリベラル派の対立を煽り、1998年の和平協定を不安定にすると認めている。しかし、議定書に署名したのはジョンソン首相である。

ジョンソン首相は北アイルランドのメディアに対し、「EUは取り決めに批判が集まっていることを知っている」と語った。「EUの立場が変わることを望みます。そうでなければ、結果を伴うでしょう」

またジョンソン首相は、「今後数日のうちに、より詳細な評価と次のステップを議会に提示する」とEUをけん制した。

イギリスはEUが見直しに合意しない場合、ブレグジット協定の一部を上書きできる法律を施行するかもしれないと警告している。

これを実施すれば、EUは法的措置で反撃し、貿易制裁に踏み切る可能性もあるだろう。EUはイギリスの最大の貿易パートナーである。

イギリスのロジャーズ(Ivan Rogers)元EU大使は、「貿易戦争に突入する可能性が高いと思う」と警告している。

アイルランド外相は先週、「イギリスの妨害と大言壮語が北アイルランドの平和を損なっている」と非難した。「西側が世界に団結を求め、共に問題を解決するために協調して行動している時に、です...」

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