イタリア、フェミサイドに終身刑適用へ、議会が刑法改正案可決
イタリアではジェンダー暴力が深刻な社会問題となっている。特に女性に対するパートナーによる暴力が目立ち、殺人事件の多くが家庭内で発生している。
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イタリア議会下院(定数400)は25日、フェミサイド(女性を標的とする殺人)に終身刑を適用する刑法改正案を賛成多数で可決した。
この採決は国連総会が定めた「女性に対する暴力撤廃の国際デー」と同日に行われた。
与党中道右派と野党中道左派の超党派が法案を支持、賛成237票で可決された。
同国初の女性首相であるメローニ(Giorgia Meloni)首相はフェミサイドを含む女性に対する犯罪を根絶すると宣言している。
法案にはストーキングやリベンジポルノを含むジェンダーに基づく犯罪に対する強化措置も盛り込まれた。
中道左派野党は法案を支持したものの、「政府の取り組みは問題の刑事面のみに対処し、経済的・文化的格差には手を付けていない」と強調した。
統計局(ISTAT)の記録によると、2024年に発生したフェミサイドは106件。うち62件はパートナーまたは元パートナーによる犯行であった。
イタリアではジェンダー暴力が深刻な社会問題となっている。特に女性に対するパートナーによる暴力が目立ち、殺人事件の多くが家庭内で発生している。
文化的に「名誉」や家父長的価値観が残存しており、被害者が通報しにくい環境が形成されている点も問題だ。
政府は法整備を進め、ストーキング防止法や厳罰化、被害者支援制度の強化を図っているが、司法手続きの遅延や保護措置の不十分さが指摘されている。
教育現場でのジェンダー平等教育も進められているが、地域や世代によって意識の差が大きい。社会全体での意識改革と制度の実効性確保が今後の課題となっている。
