イタリア政府、EU・メルコスール自由貿易協定への支持表明
対象となるのはブラジル、アルゼンチン、ボリビア、パラグアイ、ウルグアイとの貿易協定で、交渉期間は25年以上に及んでいる。
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イタリア政府は9日、EUと南米南部共同市場(メルコスール)による自由貿易協定への支持を表明し、交渉成立に向けた一歩を踏み出した。
対象となるのはブラジル、アルゼンチン、ボリビア、パラグアイ、ウルグアイとの貿易協定で、交渉期間は25年以上に及んでいる。今回の支持を受け、EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は、来週パラグアイでメルコスール諸国と会合を開き、署名に向けた動きを加速させる意向を示している。最終的な発効には欧州議会の承認が必要である。
イタリアのメローニ(Giorgia Meloni)首相は以前から協定について、「イデオロギー的異論は一切なかった」と述べ、条件が整えば支持する姿勢を明確にしていた。外務省は9日の声明で、「イタリアにとってこの協定は良いニュースである」とし、協定が成立すれば輸出が大幅に拡大し、輸出額を7000億ユーロに引き上げることが見込まれると強調した。また、長期にわたる交渉を経て、イタリアの農業生産基準に関する保護策を確保したとも述べた。
一方で、この自由貿易協定には国内外で賛否が分かれている。協定は世界最大級の自由貿易圏の創設を目指しており、約7億8000万人を対象にGDPの4分の1規模をカバーするという巨大な枠組みとなる見込みだが、加盟国内では農業競争や環境への影響を懸念する声が強い。特にフランスやポーランド、オーストリア、ハンガリー、アイルランドなどは協定に反対し、農家らの抗議行動も各地で発生している。これらの国々は欧州共同体域内の食料安全保障や環境基準の維持を理由に、協定に対して強い懸念を示している。
メルツ(Friedrich Merz)独首相は9日、この協定をEUの貿易政策における節目と位置付け、南米との関係強化はドイツおよび欧州全体の経済に寄与すると述べた。支持国側は、協定がEUの戦略的主権と行動力を示すシグナルになると評価している。また、協定成立は米国や中国など他の大国による保護主義的な貿易政策に対抗する意味も持つとの見方が出ている。
しかし、協定に対する批判は依然として根強い。環境保護団体などは、アマゾンの森林破壊を加速させる可能性があるとして協定に懸念を表明しているほか、欧州議会内の一部議員も協定がEUの気候目標を弱めると主張し、法的手段に訴える意向を示す動きもある。加盟国間で条件調整が継続される中、最終的な承認プロセスは今後の議論と調整次第で変動する可能性がある。
