◎この人身売買組織は亡命を希望する人々に3000~5000ユーロを支払うよう要求し、一度に10~30人をボートに乗せ、シチリア島に送り込んでいた
イタリア警察は18日、チュニジアからシチリア島に亡命希望者を送り込んでいたとされる人身売買組織の構成員12人を逮捕したと発表した。
報道によると、警察はこの組織の構成員とみられる別の6人の逮捕状も合わせて発行したという。
警察は声明で、「この組織は亡命を希望する人々に3000~5000ユーロを支払うよう要求し、一度に10~30人をボートに乗せ、シチリア島に送り込んでいた」と明らかにした。
また警察は、「構成員のやり取りを盗聴した結果、この組織は船に問題が発生した場合、人々を海に捨てるよう話し合っていたことが明らかになった」と説明している。
報道によると、この組織の捜査は2019年2月に開始されたという。
シチリア島の漁師は今月、港に大型エンジンを搭載した全長10mほどの船が接岸していたと通報した。
警察はこのボートがシチリア島の港で数日前に盗まれたことを確認。捜査は急展開した。
警察はその後、チュニジア人11名とイタリア人7人の逮捕状を発行。報道によると、この一部は人身売買の罪に問われる見通しだという。
警察は「今回逮捕したチュニジア人の夫婦が人身売買を主導した」と説明している。2人の身元は明らかにされていない。
また警察は「シチリア島に拠点を置くチュニジア人2人が組織の資金を管理し、イタリア人5人が移民の移送を手配・管理していた」としている。
人身売買で得た利益は収益を増やすために新しいボートの購入などにあてられたという。
地元メディアは警察関係者の話を引用し、「この組織に関与した私設空港を持つ農場所有者も逮捕された」と報じている。この農場主はチュニジア人工作員を受け入れるために文書を偽造した可能性があるという。
先月就任したメローニ(Giorgia Meloni)首相はアフリカ北部やトルコから押し寄せる移民を取り締まると約束している。シチリア島やランペトゥーザ島に到着する移民の多くがチュニジアとリビアを出港する。