◎ウクライナ政府によると、開戦以来、スポーツ選手とコーチ少なくとも228人が死亡したという。
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ(Thomas Bach)会長は12日、ロシアとベラルーシ選手のパリ五輪出場を検討していることについて、「IOCはいつも、歴史の正しい側に立ってきた」という見解を示した。
バッハ氏は仏クーシュベルのアルペンスキー世界選手権会場を視察した際、記者団の取材に応じた。
バッハ氏は記者から、「IOCは過去にも正しい側に立っていないと言われてきたが、どう思うか?」と問われると、「IOCはいつも正しい決断を下してきた」と反論した。
IOCは先月、中立の旗の下でロシア・ベラルーシ選手のパリ五輪参加を検討すると述べ、「パスポートを理由に競技への出場を禁じることは差別であり、五輪憲章に反する」と主張した。
ウクライナ政府を含む欧米各国はIOCに反発し、ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領はバッハ氏を激戦が続く東部ドネツク州バフムートの前線に招待すると表明した。
バッハ氏は「IOCは間違った側に立っていると思うか?」という質問を払いのけた。「いいえ。歴史は誰が平和のためにより多くのことをしてきたか示しています。境界を取り除き、コミュニケーションを図ろうとする者と孤立や分裂を望む者。どちらが平和のために行動してきたかは火を見るより明らかです。歴史がそれを証明しています」
またバッハ氏は朝鮮半島、中東情勢、コソボ問題などを例に挙げ、「五輪は結束を促し、平和を促してきた」と強調した。
男子滑降に出場したウクライナのコウバスニュク(Ivan Kovbasnyuk)選手はAP通信の取材に対し、「ロシア選手はパリに来るべきではない」と語った。アルペン世界選手権に出場したウクライナ代表はコウバスニュク選手1人である。
コウバスニュク選手は「ロシアはウクライナ人を殺している」と述べ、他のスポーツ選手と同じ見解を示した。「今、この瞬間も市民を虐殺している殺人国家の五輪参加を認めるべきではありません。五輪を血で汚すことになります」
一方、バッハ氏はすべてのウクライナ選手と連帯していると語った。「IOCは彼らと痛みを共有し、ウクライナと完全に連帯しています」
ウクライナ政府によると、開戦以来、スポーツ選手とコーチ少なくとも228人が死亡したという。