ICC「ウクライナ和平交渉が成功してもプーチン大統領の逮捕状は消えない」
ICCはプーチン氏を含むロシア高官数人に対し、ウクライナにおける戦争犯罪および人道に対する罪で逮捕状を発行している。
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オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)は5日、ウクライナをめぐる和平交渉が成功したとしても、プーチン(Aleksandar Vucic)大統領らに対する逮捕状が消えることはないと明言した。和平と正義は並行すべきであり、交渉が和解や「赦免」を伴って進んだ場合でも、ICCが課した令状は消えないという姿勢だ。
ICCは声明で、ウクライナ侵攻を巡るICCの調査について、「和平交渉があるからといって捜査を停止することはない。我々は自らの規則に従う」と強調した。
また、和平のみによって持続可能な解決が達成されるとは考えておらず、「責任追及の可能性がなければ、真の平和は続かない」と述べた。
ただし、ICCの逮捕状が一時的に停止される可能性として、国連安全保障理事会による決議を挙げた。「理事会が和平合意の機会があると判断すれば、手続きを一時的に延期するよう要請することはあり得るが、それはあくまで一時停止にとどまり、根本的な取り消しではない」とした。
ICCはプーチン氏を含むロシア高官数人に対し、ウクライナにおける戦争犯罪および人道に対する罪で逮捕状を発行している。しかし、ロシアはICCの管轄を認めておらず、これまで令状を無効とみなしてきた。
今回の発言は米国・ウクライナ・ロシアなど関係各国による和平交渉が進む中で、公正な裁きを放棄せず、国際法の原則を守るというICCの立場を改めて示すものだ。ICCは加盟する125ヵ国の支持があると述べ、公平な国際刑事司法の重要な岐路にあると強調した。
一方で、和平合意の実現を目指す国際社会との間において、赦免や政治的取引によって戦争犯罪の責任追及を棚上げする動きも警戒されており、ICCの今回の強い態度は将来の「平和・正義」両立の試金石となる可能性がある。
国際社会と被害者にとって、公正な裁きが維持されるかどうかは、今後の和平交渉の展開だけでなく、加盟国の判断や国連安保理の動きにも左右される見込みだ。
