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IAEA、イランの高濃縮ウラン量確認できず、懸念高まる

イランは6月13日時点で60%の濃縮ウランを440.9キログラム保有していた。
国際原子力機関(IAEA)のエンブレム(Getty Images)

国際原子力機関(IAEA)は12日、今年6月にイランとイスラエルによる12日間戦争が勃発して以来、イランの高濃縮ウランの備蓄状況を確認できていないと明らかにした。

それによると、この戦争以来、イラン側による核物質在庫に関する申告は止まっているという。

IAEAは報告書の中で、この問題について、「緊急に対処する必要がある」と強調した。

IAEAが9月に公表した前回報告書によると、イランは6月13日時点で60%の濃縮ウランを440.9キログラム保有していた。

5月時点では60%の濃縮ウランを408.6キログラム保有。IAEAによると、これは核弾頭9発分に相当する。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用

イランとイスラエルの戦争は両国間の緊張を一気に高め、米国との関係にも深刻な影響を及ぼした。

イスラエルの先制攻撃に対し、イランは大規模な報復を行い、双方で数百人の死傷者が出た。米国はイスラエルを支持し、イランの核施設を空爆した。

イランは先月、国連事務総長宛の書簡を公開。2015年に合意したJCPOA(包括的共同作業計画、イラン核合意)の終了を中国、ロシアと連名で発表した。

IAEAは報告書の中で、「イランで調査の対象となる核物質が平和的な核活動に使われ、施設が悪用されていないことを保証するためには、正確な申告が不可欠である」と述べた。

イラン政府は5月31日にIAEAがイランを非難する報告書を公表し、核不拡散義務に違反していると宣言した結果、イスラエルが空爆に踏み切ったと非難してきた。

またイランはIAEAの監督下にある非核保有国のイランが核保有国の米国とイスラエルの攻撃を受けたこと、そして、核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器を保有するイスラエルが核施設を攻撃したことを国際法違反と糾弾してきた。

NPTで核保有を認められた5カ国(米露中英仏)以外に核兵器を保有する国のひとつがイスラエルであり、IAEAを含む国際社会はそれを黙認してきた。

イスラエルは現在、核弾頭を約90発を保有していると推定されるが、その保有を認めたことは一度もない。

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