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腸内環境と老化の関係、腸の健康状態が老化に影響するか

専門家の間では、腸内環境と老化の関係についてまだ不確実性が多いとの見方もある。
腸のイメージ(Getty Images)

腸の健康が老化に影響を与えるかどうかについて数カ月にわたって調査した記者が、自身の腸内環境を調べながら老化の改善につなげられるかを探る取材を行った。近年、腸内細菌をめぐる関心が高まっており、SNSでは「腸活」をうたうサプリメントや食品が多く宣伝されている一方で、専門家の間では科学的根拠についての議論が続いている。

BBCの記者は数週間前に自分の便のサンプルを採取して検査機関に送り、腸内マイクロバイオームの状態を分析した。この検査は、身体内部に共生する数兆個の微生物のバランスや多様性を調べるもので、腸内環境が健康や病気のリスクに関わる可能性が示唆されている。検査を担当した英インペリアル・カレッジ・ロンドンのジェームズ・キンロス教授は、腸内細菌が全身の健康、特に老化過程に深く関与している可能性があると述べている。

世界最高齢者だったスペインのマリア・ブラニャス・モレラさん(享年117)の例では、毎日ヨーグルトを三食摂取する習慣があり、炎症を抑える「良い細菌」が多いことが明らかになったという研究もある。また、中国の超高齢者を対象とした別の研究では、100歳以上の人々に腸内細菌の多様性が高い傾向が認められた。これらの結果は、腸内細菌が老化や健康寿命に影響する可能性を示唆している。

キンロス教授は腸内細菌の多様性を「庭」に例え、花や植物が多いほど健康的だと説明する。加齢に伴い多様性は低下しやすいが、高齢でも良い細菌の多様性を保持している人は、長く健康な生活を送る傾向があるとされる。記者自身の検査結果では、多様性は比較的良好であったものの、心血管リスクに関連する菌や一般に「良くない」とされる菌も検出された。さらに、腸内細菌の状態は同年齢のイタリア人男性と比較すると、実年齢より「腸の年齢」が5歳上だったとされる調査結果も示された。

こうした結果を踏まえ、栄養士は記者に腸内細菌の多様性を高めるための食事プランを提案した。食事には種子や発酵乳製品、色とりどりの野菜・果物、魚介類を取り入れ、加工食品や白砂糖を控える内容が推奨された。また、ケフィアや昆布茶といった飲料も紹介されたが、忙しい生活の中で継続することの難しさも指摘されている。

専門家の間では、腸内環境と老化の関係についてまだ不確実性が多いとの見方もある。英国王立一般医協会は、腸内細菌研究は興味深いものの、「腸の健康」は健康全体の一部に過ぎないと述べる。また、遺伝的要因や運動、禁煙といった他の生活習慣も老化に大きく関与すると指摘されている。

総じて、腸内細菌を改善することで老化プロセスの一部を良好に保つ可能性はあるが、その効果の大きさや具体的な方法については今後の研究が必要とされている。記者自身も新たな食生活を続けつつ、腸内環境が健康維持にどの程度寄与するかを見守っていくとしている。

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