◎オルバーン首相は3日の勝利演説でEU首脳とウクライナのゼレンスキー大統領を「敵対勢力」と表現した。
ハンガリーの極右ヴィクトル・オルバーン首相は4日、同国の議会選挙で地滑り的勝利を勝ち取ったことを受け、ロシアのプーチン大統領から祝辞を受けた。
選挙管理委員会によると、オルバーン首相の与党フィデス=ハンガリー市民同盟は開票率99%の時点で議席の6割強を獲得することが確実となった。
<ハンガリー議会選2022 定数199議席 開票率98.96%>
・フィデス 135議席(53.29%)
・野党連合 56議席(34.89%)
・祖国運動 7議席(6.15%)
・その他 0議席
野党連合は選挙前の63議席から議席を大幅に減らすことが確実となった。極右の祖国運動は初の議席獲得。フィデス=ハンガリー市民同盟は議席を2つ伸ばした。
ロシアのメディアなどによると、プーチン大統領はハンガリーとの関係をさらに発展させることができると自信を示し、オルバーン首相の勝利と4期目を歓迎したという。
オルバーン首相は3日の勝利演説でEU首脳とウクライナのゼレンスキー大統領を「敵対勢力」と表現した。
ハンガリーはウクライナ難民を50万人以上受け入れ、対ロシア制裁に参加しているが、EU加盟国の中で唯一、ウクライナに武器を提供しておらず、ゼレンスキー大統領の支援要請を断り続けている。
オルバーン首相はロシアの化石燃料禁輸に強く反対している。ハンガリーは国内で消費する天然ガスの85%、石油の60%以上をロシアに依存しており、供給が止まれば危機的状況に陥る可能性が極めて高い。
同じくロシアの化石燃料に依存しているドイツやオーストリアなどのEU諸国も禁輸に慎重であり、オルバーン首相は今回の勝利を受け、これらの国々に立場を明確に示すよう促し、支持を求めると予想されている。
野党連合のマルキザイ党首は3日遅くに敗北を認めた。
マルキザイ党首は支持者に、「私たちはできる限りのことを行ったが、与党フィデスの支配下に置かれている国営メディアは野党の政治家をあまり紹介せず、不平等で厳しい選挙戦を余儀なくされた」と語った。「今回の選挙は不平等との戦いでした...」
欧州の選挙監視団も、「選挙はうまく運営されていたが、公平な競争の場は提供されなかった」と指摘している。
オルバーン首相は報道の自由、移民、LGBTQなどの問題をめぐって、たびたびEU首脳と衝突してきた。
ロシアへの対応をめぐってもオルバーン首相とEUの対立は深まっている。オルバーン首相はプーチン大統領と穏やかな関係を構築しており、西側の制裁に署名したが、ウクライナに武器を提供することは拒否している。
またオルバーン首相は公の場でゼレンスキー大統領を批判した唯一のEU指導者である。
ハンガリーはEUとNATOの中で孤立しているが、オルバーン首相はどちらの機関もハンガリーの追放を望んでいないことを理解している。EUとNATOはロシアに対立ではなく結束を示すことを望んでいる。