ハンガリー首相、押収したウクライナの資産を保管するよう指示、緊張高まる
この問題の背景には、ハンガリーとウクライナの関係悪化がある。
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ハンガリーのオルバン(Viktor Orbán)首相が同国で押収されたウクライナの現金と金を60日間保管するよう命じ、両国間の緊張が高まっている。対象となった資産は約8200万ドル相当で、資金洗浄(マネーロンダリング)の疑いを調べるための措置とされるが、ウクライナ側は「違法な押収」と強く反発している。
問題となっているのは、先週ハンガリー国内で押収された資金の輸送である。装甲車2台で運ばれていたのは4000万ドルと3500万ユーロの現金、さらに約9キログラムの金で、為替レート換算で約8200万ドルに相当する。資金はオーストリアからウクライナへ向かう途中で、ハンガリー当局により押収された。
輸送に同行していたのはウクライナの国営貯蔵銀行オシュチャドバンク(Oschadbank)の職員7人で、ハンガリーの対テロ部隊が装甲車を停止させて拘束した。映像では覆面の武装隊員が車両を取り囲み、職員を拘束する様子が確認された。職員らは24時間以上拘束された後に釈放され、国外退去処分となったが、資金と金はハンガリー側が保管している。
ウクライナ政府はこの輸送について、国家間の銀行業務として行われた通常の資金移動であり、必要な書類もすべて整っていたと説明している。これに対しハンガリー政府は、資金の出所や用途について資金洗浄の疑いがあるとして調査が必要だと主張している。オルバン氏の命令では、税関当局が資金の出所や目的、さらに拘束された7人の身元や犯罪組織・テロ組織との関係の有無を調べるよう指示された。
ウクライナのシビハ(Andriy Sybiga)外相は10日、ハンガリーの決定について、「無法状態に陥っている」と非難し、今回の決定は違法な押収を正当化する試みだと主張した。ウクライナ政府は資金の返還を求めるとともに、必要であれば対抗措置を取る可能性も示している。
この問題の背景には、ハンガリーとウクライナの関係悪化がある。ハンガリーはロシアとの関係を維持しながら、EUによる対ロシア制裁やウクライナ支援に消極的な姿勢を取ってきた。最近では、ロシア産原油を運ぶパイプラインの供給問題をめぐり両国の対立が激化している。
さらにハンガリーでは来月総選挙が行われる予定で、オルバン氏はウクライナに対する強硬姿勢を強めている。オルバン氏はウクライナがハンガリーの安全を脅かしていると主張し、選挙戦の重要な争点としている。こうした政治状況の中で起きた今回の資金押収は、両国の外交関係を一層悪化させる可能性がある。
資金の扱いについて最終的な判断がいつ下されるのかは明らかになっておらず、今後の調査結果と両国の外交対応が注目されている。
