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「ペニス注射」がミラノ・コルティナ冬季五輪で話題になった経緯

スキージャンプでは安全性や公平性の観点から、選手のボディサイズに合わせて非常にタイトな競技用スーツが用意される。
オリンピックのロゴ(Getty Images)

2026ミラノ・コルティナ冬季オリンピックを目前に控え、スキージャンプ競技を巡る異例の話題が国際的な注目を集めている。ドイツの大衆紙ビルトが報じたところによると、一部の男子選手が3Dスキャンによるスーツ採寸時に有利なサイズを得るため、ペニスにヒアルロン酸を注射して大きく見せているとの噂が広まっている。これがSNSやメディアで「ペニス注射」やウォーターゲート事件をもじって「ペニスゲート事件」と呼ばれ、ミラノ五輪の話題の一つになっている。

スキージャンプでは安全性や公平性の観点から、選手のボディサイズに合わせて非常にタイトな競技用スーツが用意される。スーツは選手の身体寸法を基に作られ、股下の位置は性器の最も低い点から測定される。この測定によって許容されるスーツの余裕が決まり、表面積が大きいスーツは空気抵抗や揚力に影響を与える可能性があるため、微妙なサイズ差が競技成績に影響するという分析もある。ビルト紙は注射によってペニスを一時的に太くすることで、結果として許容範囲の大きめのスーツを受け取ることができ、飛距離の向上につながる可能性があると伝えた。

この報道に対し世界反ドーピング機関(WADA)は、実際にそのような行為があるかどうかを調査対象とすると表明した。ミラノでの会見でWADA事務局長は、この噂を直接確認する情報は持っていないものの、もし健康を害しスポーツの精神に反するような方法であれば、ドーピング規定の対象となり得ると述べた。

ただし、これまでのところ噂に対する具体的な証拠は出ておらず、現時点で選手が実際にペニス注射を行っている事例が確認されたわけではない。国際スキー連盟(FIS)は公式コメントを控えているが、同競技では過去にもスーツに関するルール違反が問題になったことがある。2025年世界スキー選手権ではノルウェーの男子スキージャンプ選手らが股部分の縫い目に違法な補強を加え、競技スーツの面積を人為的に増やしていたことが発覚し、選手やコーチが処分を受けている。

このような背景を踏まえ、スキージャンプ界では競技用スーツの公平性と技術管理の重要性が改めて問われている。専門家の間では、過去の研究に基づいて、スーツの表面積が増えると空力性能が変わり飛距離に影響を与える可能性があるとの指摘もあるが、ヒアルロン酸注射自体の有無やそれがパフォーマンス向上に本当に結びつくかについては明確な科学的証拠は存在しない。

スポーツ界では常に技術やルールの微妙な抜け道を突く試みが存在するが、今回のような性器のサイズを巡る話題は極めて異例で、倫理面や規制の範囲に関する議論を呼んでいる。WADAは引き続き関連情報を精査し、必要に応じて対策を講じる方針である。

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