トランプ氏「グリーンランドを買いたいの」様々な仮説が浮上
トランプ氏がグリーンランドの「取得」を公に議論すること自体が国際的な驚きを誘っており、現実には政治的、法的、外交的な壁が極めて高い。
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トランプ(Donald Trump)米大統領がデンマーク王国の自治領である世界最大の島グリーンランド(人口約5万7000人)を米国が取得すべきだと主張し、その具体的方法が議論を呼んでいる。トランプ氏が「グリーンランドは国家安全保障上必要だ」と繰り返している中で、取得の可能性について様々な仮説が浮上している。
① 購入の選択肢
トランプ氏は過去にも「グリーンランドを買いたいの」と述べており、これは法的・外交的に最も穏当な方法とされる。グリーンランドはデンマークの自治領であり、主権はデンマークが保有しているため、領有権を移転するには両政府の合意と住民側の了解が必要だ。歴史的にも米国はデンマークからデンマーク領西インド諸島(現在の米領バージン諸島)を購入した前例があるが、グリーンランドの場合は自治政府の存在が交渉に複雑さを加える。
② 自由連合の提案
購入を軸とした穏健な案として、グリーンランドと米国の間で「自由連合(compact of free association)」のような協力関係を構築し、外交や防衛を米国が担う代わりに経済支援を行うモデルも取りざたされている。この形式は他の太平洋諸島との関係で米国が実施しているケースがあり、兵站や軍事協力を強化しつつも完全な領有には至らない可能性がある。
③ 軍事力の示唆
トランプ政権の一部関係者は軍事力の活用も排除しない考えを示しており、ホワイトハウスは「米軍の使用は常に選択肢の一つだ」と公言している。この発言は国際的な反発を招き、特にNATOの同盟国であるデンマークが所有するグリーンランドに対する軍事的な介入は同盟関係そのものを損ないかねないとの懸念が高まっている。
④ 国際法と現実的な障壁
仮に軍事的な手段が技術的に可能であっても、国際法や国際秩序に対する深刻な違反を伴い、米国とヨーロッパ諸国との関係に致命的な打撃を与える可能性が指摘されている。グリーンランド政府やデンマーク政府は一貫して「グリーンランドは売り物ではない」と主権尊重を強調し、国際社会もこれを支持する声明を出している。
⑤ グリーンランド側の立場と住民意識
現地住民の多くは米国への併合や支配に否定的であり、むしろ将来的な独立を望む声が強い。自治政府はデンマークとの関係を維持しつつ、自らの将来を決定する権利を主張している。国際法上も、住民の意志は領土の帰属に関わる重要な要素となる。
⑥ 地政学的背景
グリーンランドの戦略的重要性は、北極圏における地政学的な位置や、米軍が運用するレーダー基地の存在、鉱物資源の潜在的価値にある。中国やロシアが北極圏で影響力を強めているとの懸念を背景に、トランプ氏は「米国が先手を取るべき」との立場を繰り返しているが、多くの専門家は国際協調や同盟関係を優先すべきだと指摘する。
まとめ
トランプ氏がグリーンランドの「取得」を公に議論すること自体が国際的な驚きを誘っており、現実には政治的、法的、外交的な壁が極めて高い。現状では購入交渉や強化された協力関係の構築が現実的選択肢であり、軍事的手段は国際秩序に甚大な影響を与えるため、実際に実行される可能性は低いとみられている。いずれにせよ、グリーンランドの将来はデンマークと住民の意志次第だという国際的な原則が再確認される格好となっている。
