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国際法は「エネルギー施設」への攻撃をどのように規定しているか

国際人道法上、戦闘行為において攻撃が許されるのは「有効な軍事目標に直接影響を与える場合」であり、民間人や民間施設への被害は最小限にとどめる義務がある。
2026年2月2日/ウクライナ、首都キーウ市内で行われた炊き出し(AP通信)

国際法は戦時におけるエネルギー施設への攻撃をどのように規定しているのか。ウクライナ戦争を巡る最近のロシア軍のエネルギーインフラ攻撃を背景に改めて注目を集めている。ロシアはミサイルやドローンによるウクライナの電力網などエネルギー施設への攻撃を強化し、厳しい冬の中で広範囲に停電や暖房供給の停止を生じさせているとして、ウクライナ側はこれを「市民生活を破壊する違法行為」と非難している。ロシアはこれを「軍事作戦の一環」として正当化しているが、国際的な法的評価は大きく異なる。

国際人道法上、戦闘行為において攻撃が許されるのは「有効な軍事目標に直接影響を与える場合」であり、民間人や民間施設への被害は最小限にとどめる義務がある。専門家は、電力網などエネルギーインフラは通常、民間サービスを提供する「民間施設」であり、無差別かつ広範な攻撃は許されないと指摘している。また、赤十字国際委員会(ICRC)も生活に不可欠なサービスを提供するエネルギーシステムは基本的に民間施設として保護され、直接攻撃や報復、付随的被害から守られるべきだとしている。

国際刑事裁判所(ICC)は2024年、ロシア軍の高官および元国防相に対し、電力インフラを標的としたミサイル攻撃などの戦争犯罪の疑いで逮捕状を発布した。ICCはこれらの攻撃が「民間施設に向けられた可能性があり、仮に軍事的目標と認められる場合でも予想される民間人被害が見込まれる軍事利益をはるかに超えていた」と判断した。ロシアはICCの加盟国ではなく、裁判所の管轄を否認し、容疑者の引き渡しを拒否している。

ロシア側は、攻撃対象はウクライナ軍の物資供給や戦力維持に関連するインフラであり、合法的な軍事目標だと主張している。しかし、共同の国際的推計によると、ウクライナのエネルギー部門の戦争による損害額は200億ドルを超え、主要な送電設備や発電所の損壊が続いている。ウクライナ政府はロシアの攻撃が市民の耐久力と戦意を削ぐことを狙ったものだとして、国際社会により強い非難と法的対応を求める声を上げている。

国際法の観点では、戦闘員がエネルギーインフラを攻撃すること自体は、その施設が軍事的価値を持つと合理的に判断され、かつ付随的な民間被害が過度でない場合に限り許容される。しかし、広範に民間サービスを停止させるような攻撃が多数報告される現状は、国際人道法の原則に照らして大きな疑義を投げかけている。民間保護の原則は近代国際法の中心的な規範で、その解釈と適用を巡る国際社会の議論は今後も続く見込みだ。

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