ギリシャ北部で農民デモ激化、治安部隊と衝突、催涙ガスも
この日、200〜300人の農民が100台以上のトラクターなどを動員し、空港に通じる主要道路を封鎖しようと試みた。
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ギリシャ北部テッサロニキで5日、EU支援の農業助成金の支払い遅延を受け、農民たちが同市の国際空港へのアクセス道路を封鎖しようとしたところ、治安部隊が催涙ガスを使用し、衝突が起きた。
この日、200〜300人の農民が100台以上のトラクターなどを動員し、空港に通じる主要道路を封鎖しようと試みた。少数グループが警察の警戒線を突破しようとし、空港のメイン出入口を遮断する可能性があった。これに対し、警察は催涙ガスを発射、デモ参加者と衝突した。
農民らはEUの農業助成金の支払いが遅滞していることに抗議しており、全国で高速道路や国境検問所、港、空港などの封鎖をちらつかせていた。遅延の背景には助成金申請に関する詐欺疑惑があり、当局が全申請を精査しているためだ。数十人の関係者が逮捕され、支給を担う国家機関は段階的に閉鎖された。
農家側は正当に助成を受けるはずの者まで支払いを待たされるのは「集団懲罰」にあたると非難。「種子や肥料を買う資金がなく、来季に畑を作ることもままならない」とし、「私たちは作付けすべき時に道端にいる。破産状態だ」と声を上げた。ある農民は「都市への食料供給にも影響が出る」と警告し、社会への支持を呼びかけている。
一方で当局は、主要な交通網の遮断は容認しない姿勢を示している。治安担当相は政府として抗議団体との対話に応じる意向を示したが、空港や港、国境といった交通の要所を封鎖する行為には断固対処する構えだ。
農民の抗議行動はギリシャ国内で広がりを見せており、北部から中央部にかけて高速道路や都市を結ぶ幹線道路の封鎖がたびたび行われてきた。これにより、貨物輸送を含む物流網にも深刻な影響が出ており、国境をまたぐ通行が滞っている地域もある。
今回の空港付近での衝突は、抗議運動が激化の一途をたどっている現状の象徴とも言える。農民たちの不満は単なる支払いの遅延以上に、生活基盤と次シーズンの生産能力そのものを脅かすレベルに達しており、解決には時間と慎重な対応が求められている。今後、政府がどのように支払い問題を解消し、農家の信頼を回復できるかが焦点となる。
