◎ある議員はこの事件を米国の「ウォーターゲート」事件をもじって「ミツォタキスゲート」と呼んでいる。
ギリシャ議会は29日、野党党首の電話を情報機関が盗聴していた事件について、国会主導の調査を行うと発表した。
中道右派のミツォタキス(Kyriakos Mitsotakis)首相はこの盗聴スキャンダルで猛批判に直面している。
ミツォタキス氏は週末の国会演説で、「情報機関から盗聴は間違いという連絡を事前に受けていた」という告発を却下し、機関の在り方や体制を見直すと主張した。
国会主導の調査を開始する議案は圧倒的賛成多数で決議された。報道によると、ミツォタキス氏率いる与党「新民主主義党(ND)」の議員158人中157人が賛成票を投じたという。1人は欠席した。
野党議員も賛成票を投じ、ミツォタキス氏に辞任を命じた。ある議員はこの事件を米国の「ウォーターゲート」事件をもじって「ミツォタキスゲート」と呼んでいる。
与野党の議員で構成される特別委員会は少なくとも1か月間、この事件を調査し、報告書を公表するとしている。
またこの委員会は、前政権下の2016年に行われたとされる共産党関係者の携帯電話盗聴についても調査する予定だ。
野党「全ギリシャ社会主義運動(PASOK)」の党首であるアンドロウラキス(Nikos Androulakis)議員は昨年、PASOKの党首選に立候補した後、少なくとも3カ月間、情報機関の監視下に置かれた。同機関は今月、盗聴を認めた。
来年の選挙で再選を目指すミツォタキス氏は、アンドロウラキス氏に対する盗聴や監視行為を知らなかったと主張し、もし知っていれば承認しなかったと述べている。
またミツォタキス氏は、アンドロウラキス氏が情報機関の監視下に置かれて理由を国家の安全保障にかかわるとして公表していない。
スキャンダル発覚後、情報機関の責任者とミツォタキス氏の側近が辞任した。
アンドロウラキス氏は欧州議会議員も務めている。