◎ギリシャは豊かな西欧への亡命を求める移民の中継地であり、トルコ西岸とアフリカ北部リビアやチュニジアに拠点を置く人身売買組織が頻繁に利用している。
ギリシャ南部、アフリカの移民を乗せたボート(Getty Images)

ギリシャ南部クレタ島の沖合で約100人の移民を乗せたボートが沈没し、少なくとも1人が死亡、2人が行方不明になっている。沿岸警備隊が16日、明らかにした。

それによると、近くを通りかかった貨物船が97人を救助し、沿岸警備隊の巡視艇と共にクレタ島の港に向かっているという。

生存者の内訳はパキスタン出身の男性50人、スーダン出身の男性39人と女性2人、バングラデシュ出身の男性5人、ソマリア出身の男性1人。

沿岸警備隊によると、ボートはクレタ島の南方約40キロの地点で沈没。生存者はパキスタンとスーダン出身の男性3人が行方不明になったと証言しているという。

その後、沿岸警備隊が男性1人の遺体を収容、残り2人の捜索を続けている。

ボートが沈没した理由は明らかになっていない。

ギリシャは豊かな西欧への亡命を求める移民の中継地であり、トルコ西岸とアフリカ北部リビアやチュニジアに拠点を置く人身売買組織が頻繁に利用している。

その多くがトルコ沿岸からギリシャの島々へボートで横断を試みる。しかし、この海域の国境警備は強化されているため、トルコ南部または北アフリカから大型船で直接イタリアに向かう者も少なくない。

ギリシャ当局はレバノンとパレスチナ・ガザ地区の紛争の影響で、地中海を渡ろうとする移民が急増する可能性があると警告している。

南部コス島沖では15日、トルコ近海から渡ってきた移民船の事故により、子供2人を含む4人が死亡。27人が救助されたばかりだ。

国際移住機関(IOM)によると、今年1~10月初旬までにギリシャに到着した移民は4万2000人超。その大半(3万6500人以上)が海路で到着したという。

地中海は世界で最も多くの死者を出している亡命ルートのひとつだ。IOMによると、昨年は2500人以上の移民が死亡または行方不明となった。

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