◎一部の批評家は「メローニ首相はトラス英首相のように自滅する」と予想している。
イタリアで22日、極右「イタリアの同胞」のメローニ(Giorgia Meloni)党首率いる3党連立内閣が発足した。
メローニ氏と閣僚は首都ローマの大統領府で宣誓し、共通の課題を抱える欧州の同盟国および米国と共に働くと誓ったようにみえた。
西側の指導者はイタリア初の女性首相に祝辞を送っている。
バイデン(Joe Biden)米大統領は祝辞の中で、「イタリアはNATOの重要な同盟国であり、世界の共通の課題に取り組む緊密なパートナーである」と賞賛した。
またバイデン氏は、「G7のリーダーとして、ウクライナへの支援を進め、ロシアの侵略に責任を持たせ、人権と民主主義の価値の尊重を確保し、持続可能な経済成長を構築することを期待している」と述べた。
メローニ氏はバイデン氏の祝意に謝意を示し、「新内閣は自由と国際安全保障のために米国と一緒に働くことを熱望している」とした。
またメローニ氏はNATOを念頭に置き、「米国とイタリアは深い友情と共通の価値観に基づく大西洋横断パートナーシップによって結ばれている」と強調した。
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領はツイッターでメローニ氏に祝辞を送ったが、テレビ界の大物ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)元首相には言及せず、「私は世界の平和と繁栄を確保するためにイタリアと実りある協力を続けることを楽しみにしています!」と書いている。
メローニ氏はこれに対し、「イタリアは常に、自由のため、正当な平和のために戦っているウクライナの隣に立っている」と答えた。
EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長はメローニ氏がイタリア初の女性首相に就任したことに触れ、祝辞を送った。「民主主義を追求するメローニ首相と一緒に働くことを楽しみにしています」
メローニ氏はこれに対し、「私たちの共通の課題に対するEUの取り組みを強化するために、あなた方と一緒に働くことを熱望し、その用意がある」と答えた。
メローニ氏は欧州委員会を「ブリュッセルの偉そうな官僚」と呼び非難してきた。
フランスの極右指導者ルペン(Marine Le Pen)党首はメローニ氏と極右「同盟」を率いるサルビーニ(Matteo Salvini)書記長に言及し、ツイッターにこう書きこんだ。「欧州中で愛国者が権力を握っています!」
ハンガリーの極右オルバン(Viktor Orban)首相は「欧州の右派にとって大きな日だ!」とメローニ氏を称賛した。「欧州は本来の姿を取り戻しつつあります!」
イタリアの同胞は2012年に創設され、独裁者ムッソリーニ(Benito Mussolini)のファシズムから生まれたイタリア社会運動(MSI)をルーツとする。
一部の批評家はメローニ氏が「トラス(Liz Truss)英首相のように自滅する」と予想している。
ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領から誕生日祝いにウォッカをもらったと自慢したベルルスコーニ氏は「強いイタリア」「イタリア・ファースト」を望んでいるが、メローニ氏は米国の様子を伺いながらの政権運営を余儀なくされるだろう。
地元メディアによると、ベルルスコーニ氏とサルビーニ氏は望んでいたポストを得られず不満を表明しているという。
選挙活動中、メローニ氏は「EUの政策より国益を優先する」と主張し、西側諸国の不安を煽った。
プーチン氏を敬愛するサルビーニ氏の極右「同盟」はウクライナ侵攻に対するEUの対ロシア制裁がイタリア経済に影響を与える恐れがあると不満を示している。
一方、中道右派「フォルツァ・イタリア(FI)」を率いるテレビ界の巨匠ベルルスコーニ氏は数日前、プーチン氏に同情を示し、ゼレンスキー氏を見下す発言をして物議を醸し、メローニ氏を困惑させた。
ベルルスコーニ氏はFIの集会でロシアの侵攻を正当化し、ウクライナの首都に「まともな」政府を設置する必要があると発言した。