◎この決定はマリの軍事政権と欧米諸国の緊張の高まりを反映している。
ドイツ政府は22日、西アフリカのマリ北部などで活動するMINUSMA(国連マリ多面的統合安定化ミッション)から部隊を撤退させると発表した。
首相府の報道官は声明で、「政府は連邦議会に部隊撤退を提案する」と述べている。
議会は今年5月にMINUSMAへの部隊派遣の延長(1年)を承認した。
ドイツ軍の海外派遣には議会の承認が必要であり、毎年更新している。
政府によると、MINUSMAで活動できるドイツ兵は最大1400人。
この決定はマリの軍事政権と欧米諸国の緊張の高まりを反映している。
イギリス政府は先週、マリ軍のロシア依存が高まり、地域の安全保障に影響を与えているとして、MINUSMAから部隊を撤退させると発表した。時期は明らかにしていない。
マリの旧宗主国であるフランスはサヘル地域で活動する過激派に対する「バルハン作戦」を2014年に開始し、マリ、チャド、モーリタニア、ニジェール、ブルキナ軍を支援してきたが、今年8月にマリから部隊を完全撤退させた。
軍事政権を率いるゴイタ(Assimi Goita)大佐はフランスではなくロシアとの関係を重視し、ロシアの民間軍事企業「ワグネル」と協力して過激派討伐を進めている。
サヘル地域で進行中の紛争はフランス軍の撤退準備が始まった頃から激しさを増し、多くの民間人と兵士が犠牲になった。
国連によると、マリ、ニジェール、ブルキナファソで今年イスラム過激派に殺害された民間人は7月末時点で2000人を超え、昨年の通年を上回ったという。