◎ショルツ連立政権の3党と最大野党・キリスト教民主同盟(CDU)の議員たちはこの計画を概ね支持しているとみられる。
ドイツ政府は13日、右翼過激派との闘いを目的とする大々的な計画を公表した。
同国では現在、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を含む過激な思想を持つ右翼に抗議するデモや集会が各地で開催されている。週末のデモには数十万人が街頭に繰り出した。
フェーザー(Nancy Faeser)内相は「この抗議デモが政府を奮い立たせた」と語った。「私たちはこれを国民の命令と考え、計画を策定しました...」
極右組織は昨年11月、AfDなどの関係者を招いて会合を開催。市民権を得た移民を含む数百万人を強制送還する方法などについて議論した。
ユダヤ人迫害を彷彿とさせるこの会合は国民に衝撃を与えた。
フェーザー氏は「民主主義を守るため、憲法が許す範囲でこれらの措置を導入したいと考えている」と述べた。
またフェーザー氏は「右翼過激派ネットワークを解体し、資金を凍結し、武器を取り上げたい」と強調した。
フェーザー氏が公表した13項目からなる計画は右翼を徹底的に取り締まり、必要に応じて資金を凍結したり、解体に追い込むとしている。
提案には銀行口座の凍結や過激派への資金提供を取り締まりやすくする法案が含まれる。資金提供者が取り締まりの対象になることもある。
ネットワークを弱体化させるため、警察当局は右翼のイベントをより簡単に禁止できるようになり、必要に応じて出入国も制限できる。
銃規制も強化され、有罪判決を受けたことのある者の銃所持を禁じ、右翼を支持する国家公務員の解雇も容易になる。
政府が今回提案した計画の一部は2年前に起草された法案をベースとしている。
ドイツ通信社(dpa)によると、ショルツ連立政権の3党と最大野党・キリスト教民主同盟(CDU)の議員たちはこの計画を概ね支持しているとみられる。CDUが賛成に回れば可決はほぼ間違いない。
内務省の統計によると、右翼の犯罪は年間約2万件確認されている。国内における右翼支持者は3万8000人以上と推計され、うち約1万4000人が暴力を辞さない危険人物と考えられている。
最新の世論調査によると、AfDの支持率は2021年の連邦議会選時の10.3%から23%に急上昇。1位の最大野党CDUに肉薄している。
AfDの候補は昨夏、ナチス以来初めて、市長選と地区議会選で勝利を収めた。バイエルン州とヘッセン州の選挙でも議席を大きく伸ばし、今年9月に予定されているザクセン州、テューリンゲン州、ブランデンブルク州では第1党に躍進する可能性がある。