◎ドイツは比較的短期間で原油と石炭の代替輸入国を確保した。
ドイツのロベルト・ハーベック副首相は1日、ロシア産エネルギーへの依存を解消する取り組みについて、今夏中に原油輸入を停止できる見込みと明らかにした。
ハーベック氏は声明の中で、「国内で消費するロシア産エネルギーの割合を原油で12%、石炭が8%、天然ガスを全体の35%まで減らした」と説明した。
欧州最大の工業国であるドイツはウクライナを含む欧州の同盟国からロシア産エネルギーの輸入量を減らすよう圧力を受けている。ドイツがロシアに支払う数十億ユーロはプーチン大統領の戦争資金になっている。
ハーベック氏は、「ロシア産エネルギーの輸入量を減らすためには、国内のあらゆる事業者の努力と協力が必要不可欠」としたうえで、取り組みを加速させる必要があると述べた。
EUを統括する欧州委員会は現在、ロシア産石炭の禁輸を検討している。
EU加盟国はロシアに原油と天然ガスの支払いとして1日約1100億円を支払っている。
ドイツは比較的短期間で原油と石炭の代替輸入国を確保した。ハーベック氏は「夏の終わりまでにロシア産原油の輸入を停止できる見込み」と述べ、ウクライナの要求に応えた。
しかし、天然ガスの輸入停止ははるかに困難と考えられている。
開戦以前、ドイツは国内で消費する天然ガスの半分以上をロシアから購入していた。ハーベック氏によると、その割合はノルウェーとオランダからの調達量が増えたことで35%まで低下したという。
これをさらに減らすためには、現在進めている液化天然ガス(LNG)用ターミナルの建設を加速させる必要がある。
またエネルギー気候省によると、早ければ今年か来年中にはいくつかの浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備(FSRU)を稼働させる見込みだという。
これは野心的なスケジュールであり、同省も「関係者の多大な協力と努力が必要」と認めている。
ドイツは「ロシアの天然ガス輸入を停止せよ」というウクライナ政府と市民の声に抵抗してきた。
ドイツ政府は先週、ロシア国営ガスプロム社がポーランドとブルガリアのガス供給を停止したのを心配しながら見守った。ロシアは天然ガスのルーブル建てを要求しているが、EUは応じない姿勢を示している。
ドイツの経済研究機関は先月、ロシアが天然ガス供給を停止した場合、GDPは2%以上縮小し、その損失は30兆円に達する可能性があるという見方を示していた。