◎ロシア国営ガスプロム社は7月にパイプライン「ノルドストリーム1」のメンテナンス作業を行うと説明している。
2022年6月21日/ドイツ、ルブミンのガスパイプライン接続点(Stefan Sauer/ドイツ通信社)

ドイツ政府は30日、ロシア産天然ガスの供給が削減された問題について、ロシア国営ガスプロム社が7月に予定されているメンテナンス作業完了後も供給を再開しない可能性があるという見方を示した。

ガスプロム社は7月にパイプライン「ノルドストリーム1」のメンテナンス作業を行うと説明している。

ロシアは今月、ドイツ、イタリア、オーストリア、チェコ、スロバキアへのガス供給量を減らした。これらの国々は冬場の暖房・発電・産業用ガス確保に向けた取り組みを大急ぎで進めている。

ガスプロム社はノルドストリーム1のメンテナンスを技術的な問題と説明しているが、EUは政治的な理由で供給量を減らしたと指摘している。同社によると、パイプラインのメンテナンスに必要な部品が対ロシア制裁の影響で入荷できないという。

ドイツのハーベック(Robert Habeck)副首相はその説明を否定し、「削減は政治的圧力に他ならない」と非難した。

ハーベック氏は地元紙が主催するフォーラムの中で、「ノルドストリーム1はメンテナンス作業が始まる7月11日に完全閉鎖されるかもしれない」と説明した。同氏によると、この作業は毎年行われる定期メンテナンスのひとつで、10日ほどパイプラインを閉めるという。

ハーベック氏は「恐らく、これまでのようにはいかない」と懸念を表明した。「ガスプロムは技術的な問題が見つかった、部品が足りないなどと言って供給を再開できないと主張するかもしれません。何が起きてもおかしくない...」

ドイツはLNG(液化天然ガス)の輸入量を増やしているが、ロシア産ガスを完全に賄えるだけの量は確保できていない。

ハーベック氏は「難しい対応を迫られている」と述べたうえで、LNG施設の強化とLNGタンクの貯蔵量を増やすことが急務と説明した。

政府は先週、この問題を受け、ガスの供給警戒レベルを1段階引き上げてレベル2に移行すると発表した。最高レベルの3は配給制になる。

ドイツはLNG火力発電所の出力を抑えるために閉鎖中の石炭火力発電所を再稼働させるとしたが、2030年までに脱石炭を達成するという目標は堅持している。

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