◎チャド軍政は先週、ドイツ大使が「無礼な態度」を取ったとして、48時間以内に退去するよう命じた。
ドイツ政府は11日、中央アフリカ・チャドの駐大使に国外退去を命じた。
チャド軍政は先週、ドイツのゴードン(Gordon Kricke)大使が「無礼な態度」を取ったとして、48時間以内に退去するよう命じた。
ゴードン氏は民政復帰の遅れや、2024年に予定されている大統領選に軍政を率いるデビ(Mahamat Idriss Deby)大統領が出馬できるようになったことを批判していたようだ。
軍政は退去命令に至った詳細な理由を明らかにしていない。
ドイツ通信社(dpa)によると、ゴードン氏は9日にベルリンに到着したという。
ドイツ外務省は11日、「根拠のない大使の追放」を非難し、チャド大使を召還し、48時間以内に退去するよう命じた。
外務省はツイッターに声明を投稿。「このような事態になったことを大変遺憾に思う」と書き込んだ。「大使は模範的な態度で職務を遂行し、チャドの民政への早期移行を提唱していました...」
チャドの在ドイツ大使館は「現地のパートナーとともに職務を継続する」と声明を出している。
ドイツのメディアは大使追放について、「チャド軍政に対する圧力が招いた」と指摘している。
デビ氏は父親の故イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領が反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との紛争で戦死した2021年4月に政権を掌握した。
軍の最高司令官であったデビ氏は父親の戦死後、議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任。野党はこの引き継ぎをクーデターと呼んだが、その後、デビ氏を総選挙まで暫定的に大統領とすることに合意した。
しかし、デビ氏は昨年、選挙を2024年10月まで延期し、現在の体制を最大24カ月間維持すると発表。民政復帰を求める野党はこれに強く反発し、全国で抗議デモを展開した。