◎ドイツでは過激なイスラム主義者によるテロやテロ未遂事件が相次いでいる。
フェーザー(Nancy Faeser)内務・国家相は先週、不法移民対策の一環として、フランス、ルクセンブルク、オランダ、ベルギー、デンマークとの陸路国境に6ヶ月間の国境管理を設けるようEUに通達したと明らかにしていた。
これにより、すべてのEU市民がドイツへの入国時、国境警備隊の検査を受けることになる。
ポーランド、チェコ、オーストリア、スイスとの陸路国境の警備はすでに強化されていた。
ドイツでは過激なイスラム主義者によるテロやテロ未遂事件が相次いでいる。
ショルツ(Olaf Scholz)首相率いる連立政権は移民対策で野党の批判を浴び、支持率を落としている。
西部ゾーリンゲンの野外イベントで先月発生した殺傷事件では3人が死亡、8人が負傷。捜査当局によると、容疑者の男はシリア国籍で、イスラム国(ISIS)に忠誠を誓い、不特定多数を狙うつもりでイベント会場に足を運んだと供述しているという。
6月にはアフガン系移民による殺傷事件が発生。警察官1人が死亡、4人が負傷した。
国境検査は旅券なしでの自由な往来を認めるシェンゲン協定の精神に反するとみなされ、欧州の結束が試されている。
EU域内で生活する人々は原則、国境を自由に越えることができる。
EU最大の経済規模を誇るドイツはヨーロッパの中心に位置し、どのEU加盟国よりも多くの国と国境を接している。
一部の労働組合はこの規制が貿易に打撃を与えかねないと懸念を示しているが、地元メディアが最近行った世論調査によると、ある程度の検査は仕方ないという意見が半数以上を占めたという。
移民排斥を訴える極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は現在、各州で支持率を伸ばしており、今月初めには東部2州の議会選で議席を大きく伸ばした。