◎デモ隊は「二度と間違えない」「極右に反対」「AfDを国会から追放して」などと書かれた横断幕を掲げた。
ドイツの主要都市で20日、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」などに抗議する集会が開かれ、10万人以上が参加した。
ハンブルグ警察は約5万人が参加したと発表。フランクフルトには約3万人が集まり、シュツットガルト、ニュルンベルク、ハノーバーなどでも数万人規模の集会やデモ行進が行われた。
デモ隊は「二度と間違えない」「極右に反対」「AfDを国会から追放して」などと書かれた横断幕を掲げた。
ドイツ通信社(dpa)などによると、極右組織が昨年11月に開いた会合にAfDなどの極右政党関係者が出席していたという。
会合ではドイツで市民権を得た移民を含む数百万人を強制送還する方法などが議論されたとみられる。
デモ隊はこれを「民族浄化計画」と呼び、糾弾した。
ハンブルグ警察によると、市中心部に5万人以上が集まり、安全上の懸念が生じたため、主催者に集会を早めに切り上げるよう要請したという。
首都ベルリン、ミュンヘン、ケルンなどでは21日に集会が予定されており、10万人以上が参加すると見込まれている。
ドイツでは過去にも極右政党に抗議する集会が開かれてきたが、dpaによると、この規模に発展したのは前代未聞だという。
デモ隊はAfDの支持率が右肩上がりで上昇していることに懸念を示しているように見えた。各地のデモ主催者は参加者を数千人と見積もっていたようだが、予想をはるかに上回る人が集まり、困惑した。
AfDは2013年に発足した極右政党。過去の党首は過激な政策を掲げ、情報機関の監視対象になっている。
AfDの創設者はユーロ通貨に反対するためにこの組織を立ち上げたが、2014~15年のシリア難民危機で移民に対する批判を利用して支持を集め、2017年に連邦議会に進出した。
最新の世論調査によると、AfDの支持率は2021年の連邦議会選時の10.3%から23%に急上昇し、1位の最大野党・キリスト教民主同盟(CDU)に肉薄している。
AfDの候補は昨夏、ナチス以来初めて、市長選と地区議会選で勝利を収めた。バイエルン州とヘッセン州の選挙でも議席を大きく伸ばし、今年9月に予定されているザクセン州、テューリンゲン州、ブランデンブルク州では第1党に躍進する可能性も取り沙汰されている。