◎ターミナルは北西部ヴィルヘルムスハーフェンの港に建設され、首相、副首相、経産相が落成式に出席した。
ドイツのショルツ(Olaf Scholz)首相は17日、同国初となるLNGターミナルの運用開始を記念する式典に出席し、建設工事に携わった関係者の労をねぎらった。
ターミナルは北西部ヴィルヘルムスハーフェンの港に建設され、首相、副首相、経産相が落成式に出席した。
ドイツはロシア産天然ガス依存を解消する取り組みのひとつとして、液化天然ガス(LNG)の再ガス化などを行うターミナルの建設を進めている。
ショルツ氏はロシアがウクライナに攻め込んだ数日後、2つのLNGターミナルを速やかに建設し、ロシア依存を脱却すると宣言した。
ショルツ氏は演説で、「多くの人が年内にターミナルを造るのは不可能と言ったが、皆さんは成し遂げてくれた」と語った。
この施設は1カ月前に完成し、海上でLNGを再ガス化するFSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)は15日に運用を開始した。
経産省によると、最初のLNG16万5000㎥の再ガス化は数日以内に始まり、来年初めには供給を開始する予定だという。
また2つのターミナルが今冬完成する予定であり、来年の冬にはさらに3つのターミナルが利用可能になる見込みだ。
ショルツ氏はこれらのターミナルの合計容量について、「昨冬にロシアから供給された天然ガスの半分をはるかに超える量になる」と説明した。
またショルツ氏は建設が遅れているというメディアの批判を一蹴し、「ドイツのインフラ開発は新たな領域に到達した」と語った。「ターミナル建設はドイツ経済が強く、危機に対処できることを世界に示すでしょう...」
ロシアは6月、欧州最大の工業国であるドイツのエネルギーを枯渇させるために天然ガスパイプライン「ノルドストリーム1」の供給量を大幅に減らした。
ロシア国営ガスプロム社は8月以降、ドイツにガスを供給していない。
環境保護団体はターミナルの建設が環境破壊を加速させると批判している。
一方、政府転覆計画に関与したのではないかと噂されている極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のクルパラ(Tino Chrupalla)党首は17日、「ターミナルは危機を解消しない」と主張し、政府に対ロシア制裁を解除するよう要求した。